30年以上に渡ってTVのバラエティ番組やCM、映画等に出演し続けながら、女性の権利獲得や、性差別的な抑圧を受けない社会を実現しようと語り続けてきた田嶋陽子さんがここ数年、女性たちの間でブームとなっている。

 そんな田嶋さんに会えることになり、数年前からフェミニズムを学び始めたばかりの58歳のライターである私はドキドキしながら都内にあるシニアハウスを訪ねた。そこが今の事務所兼住まいだという。「ここは天井が高くて留学していたイギリスの雰囲気が感じられるのがいいのよね」――TVで見たままの変わらぬ田嶋さんが朗らかに話す。

 ああ、うれしい。テンション高めに向かい合うと、途中で編集長も田嶋さんのパワーに巻き込まれて思わず参加しちゃったり。女同士でワイワイと話した。2024年6月20日(木)発売の『週刊文春WOMAN 2024夏号』より一部を抜粋し、掲載する。

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和田 田嶋先生を知ったのは、1990年にフジテレビの『笑っていいとも!』(フジテレビ系)にご出演されたときでした。どんな方か分からないながらも、強烈な印象を受けました。

田嶋 出演の話がいきなり来て、打合せもないままスタジオアルタに行ったのが始まりでした。

和田 打合せもないままお昼の生放送、国民的人気番組に登場する田嶋先生の度胸もすごい(笑)。

田嶋 当時テレビを見ていなかったんで、『笑っていいとも!』も見たことないし、タモリさんも知らないし、オンエアー中は何か言えばすぐ揚げ足を取られた。いわゆるツッコミかな? こっちは大学で授業をするようなつもりで行ったんだけど、いつのまにか番組で3つ準備してあったコーナーを全部飛ばして、私のコーナーだけで終わっていた。

和田 タモリさんも知らないのに初回で大旋風を巻き起こしてしまった!

田嶋 でも、私はまともに喋らせてもらえなくて真剣に怒っていた。最後は水の入ったピッチャーに「どいつにぶっかけてやろうか」と手がかかってたぐらいね(笑)。だから「二度とこんな番組出るもんか」と思ったのに、終わった後に新宿駅でエスカレーターに乗っていた女の人たちが、下にいる私に何か言いながら「ワーッ」て手を振ってくれたの。「田嶋先生!」って。

2024.06.27(木)
文=和田靜香