そうか! 通じたんだって、また出ちゃって。でも、2回目は1回目みたいにぶちかまさず、黒板に円など描いて「男社会とは」なんとやらって。「先生が静かにやったから、客が引いちゃいました」って番組の人に言われた。

 そんなこと言われたら、客が引かないようにやりたいって思うじゃない? じゃあ、もう1回頑張るって言って、そうやって騙され続けて10回も出ました(笑)。

 

テレビの世界では「四面楚歌」だった

和田 視聴者も田嶋先生を好きになっちゃったんですよね。

田嶋 そういう人もいたかもしれない。電車の中で子供を連れた女の人が涙を流しながら「先生よく言ってくださいました」って言ってくれたり。年輩の主婦や中高生の女の子たちや男の子たちは面白がってくれていた。「先生! こんど何を言うの?」って。

和田 女性たちは、感じてはいても言葉にできない不満みたいなものを田嶋先生が的確に言葉にしてくれたから、感動したんでは?

田嶋 でも、良妻賢母思想でガチガチになってる人からしたら、「この人、なんてことを言うんだろう」って、敵視したんじゃないのかな。

和田 実は正直に言うと私自身も、そっち側にいました。最初に田嶋先生を『笑っていいとも!』で見た時は……。

田嶋 「この女」と思ったんでしょう?

和田 はい、そんなでした。テレビの世界には私みたいな人が多かったのではないでしょうか?

田嶋 テレビの世界は男に気に入られなきゃ、仕事がないようなところだったでしょう。私が言う「男はパンツ(家事)を、女はパン(仕事)を」みたいなことは受け入れられない。私が意図することを「パン代を稼げ」と取った人もいれば、「パンを焼け」と取った人もいた。

 廊下で女性のタレントが私とすれ違うとき、下を向いて顔を背けて歩いて行った。私の味方だって思われたくなかったみたい。だから厳しかったですよ。四面楚歌でした。

和田 味方はいなかった?

田嶋 ただ、こういう話を聞いたの。陰の支援者かな? 『笑っていいとも!』のディレクターの1人が家でシャワーを浴びていたら、お母さんが走ってきて、「早くテレビ見て! おもしろい人が出ているよ」って。そのお母さんは今までそんなこと言ったことがないから、彼はびっくりしたって。

2024.06.27(木)
文=和田靜香