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 2023年に行われた「FIBAバスケットボールワールドカップ」で、アジア勢最高位を獲得し、48年ぶりに自力でのパリオリンピック出場権を獲得した「バスケットボール男子日本代表 AKATSUKI JAPAN」。長い苦難の歴史の末に手にした快挙に感動した人も多いのではないでしょうか。

 パリ五輪を目前に、あの熱狂がスクリーンで再び蘇ります。

 ワールドカップでの激闘の日々を、密着映像や独占インタビューなどを織り交ぜて描いた、映画「BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち」で監督を務めた、大西雄一さんに制作の舞台裏を語ってもらいました。(全2回の前篇。後篇を読む


「やったことがないものはやりたい性分なので」

――今回が初監督作品ということですが、まずこの映画の誕生までの経緯を教えてください。

 今もそうですが、僕は元々、テレビ番組を手掛けていまして。社会派と呼ばれるようなドキュメンタリーであったり、アートドキュメンタリーだったり、色々な番組を作ってきました。ただ、スポーツ系のドキュメンタリーにはあまり縁がなかったんです。

 それがコロナ禍のときに、MLB(メジャーリーグ)が短縮シーズンになって、「こういうときこそ野球ファンは野球を求めている」というテーマのドキュメンタリー番組を作ることになって。不思議なもので、一度番組を作ると同じようなオファーが来るんですね。そこからスポーツ番組の仕事をいただけるようになって。

 そんなときに以前、お仕事でご一緒させていただいたプロデューサーの方から、「今度バスケットボールの映画を作るので、監督をやりませんか?」と言われたんです。劇場版の監督なんてやったことがなかったんですけど、基本的に僕、やったことがないものはやりたい性分なので、「やります!」と即決しました。

――映画はワールドカップ前から企画されていたのですか?

 いえ、9月にワールドカップが終わってから、日本の好成績を受けて、あの激闘を残そうという話になったそうです。僕のところにオファーが来たのは11月で、実際に取材などが始まったのが2月末ですね。

2024.06.06(木)
文=林田順子
写真=石川啓次