「國實さんに久しぶりに声をかけていただいたと思ったら、(映画の元になった)新聞記事を渡されて。

 もし自分でこの記事を読んでいたら『大変な話だ』で終わっていたかもしれないのですが、國實さんに『どうですか?』って言われて、これは人生で一番大きな課題を与えられたと思ったんです。國実さんの存在は、僕にとってすごく大きいですね」と本作が生まれた背景を語った。

みんなで真剣に作った映画だと心から言える作品

 現代の日本が抱える社会課題にフォーカスをした本作。

「これは4年前、この国で本当に起きた話です。気楽に見られる映画ではありませんが、皆さんに何か感じていただければと思います」(佐藤)

「私たちがすごく大切に思って、みんなで真剣に作った映画だと心から言える作品です。心を空っぽにして、まっさらな状態で皆さんに見ていただいて、考えたこと、受け取ったものを、現実の世界で培っていただけたらうれしいなと思っています」(河合)

 コロナ禍の日本で起きた衝撃の事実を描いた『あんのこと』。「この事実を多くの人に知ってもらいたい」という彼らの思いを、ぜひスクリーンで感じてほしい。

2024.05.17(金)
文=林田順子