平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明を描いた夢枕獏のベストセラー小説『陰陽師』。

 その晴明の若き日を描いた映画「陰陽師0」の公開に合わせて、主演の山﨑賢人はじめキャストの特写、迫力ある場面スチール写真を贅沢に収録した『映画ビジュアルブック「陰陽師0」の世界』が刊行される。

 今回はこのビジュアルブックから、山﨑賢人と晴明の盟友・源博雅役の染谷将太のインタビューを特別公開する。

※このインタビューでは映画「陰陽師0」の内容に触れている部分があります。 

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【山﨑賢人インタビュー】
「晴明の“若き日”を演じるプレッシャーは、やはりありました」

 今回の映画は、佐藤監督のオリジナルストーリーで、晴明と博雅の出会いから始まります。夢枕先生の原作ですでに完成された人格を持っている晴明の“若き日”を演じるプレッシャーは、やはりありました。

「陰陽師」シリーズのファンの皆さんは、晴明と博雅の友情関係をよくご存じだし、そこが原作の魅力でもありますから。晴明を演じるうえでは、感情に惑わされず、事実だけを見ようとする人ということを大事にしました。

 一方で、若き晴明は親の死をまだ乗り越えていなくて、過去の苦しみにとらわれてもいる。だから、普段は非常に冷静でも、時に感情的になってしまう部分がある。

 その相反する感情の間で、博雅との関係性ができあがっていくんだと思ったので、佐藤監督や染谷くんと話し合いながら、二人の会話のやり取りだったり、空気感だったりを、リハーサルを重ねてゆっくり作っていきました。

 博雅との掛け合いの中で、しだいに晴明の内面の変化をつかんでいけた感覚があったので、二人で語り合うラストシーンはすごく好きですね。

 

 二人は初対面では対立してみえますけど、僕は、実は晴明は最初から博雅のことを好きだったんじゃないかな、と思いました。

 博雅の立場や身分には興味もないし、上から目線の態度には「嫌いだ」とストレートに言う。でも、「めっちゃいいやつそうだな……」と直感的に分かっていたと思うんです(笑)。

2024.05.07(火)
著者=夢枕 獏、映画「陰陽師0」製作委員会