博雅の人間性へのリスペクトがあるんですよね。晴明は博雅と一緒に行動していく中で、彼に自分の凝り固まった頭をほどいてもらった感じがする。

本当に晴明と博雅の会話が面白い

 無意識の世界で博雅の龍笛に助けられてから、博雅への見方が変わる部分は意識して演じましたが、全体を通して、本当に晴明と博雅の会話が面白いので、お互いの言葉に反応していく中で、楽しい感じとかが自然に出ていったらリアルだな、と思ってやっていましたね。

 染谷くんと一緒に関係性を作ったことで、いい感じに仲良くなれて、絆を深めていけたと思います。

結局、どの時代であっても同じ人間

 時代ものなので、喋り方や、走り方など、現代っぽくなりすぎないようにという意識はありました。

 でも、実際に、晴明として作品の中で動いてみると、結局、どの時代であっても同じ人間だなと感じたんです。平安時代が舞台でも、彼らが感じる気持ちは普遍的なものですから。

 もちろん衣装を着て、カツラをかぶり、烏帽子をかぶるわけですけど、染谷くん演じる博雅との掛け合いが始まると、自然と晴明になっている感覚でした。平安時代の人間をどういう風に演じるかという悩みを振り切って、全速力で走っていました。

何が事実で何か真実か分かりにくい今だからこそ

「陰陽師0」は、エンターテインメント作品として、凄く迫力のある映像になっていますし、ストーリーも面白いです。

 SNSなどでいろんな情報があふれていて、何が事実で何か真実か分かりにくい今だからこそ、時代を超えた普遍的な人間の映画として見ていただければ嬉しいです。

 いつの時代であっても共感できる、人間として何を大事にすればいいのかということを感じられる作品だと思います。

 

【染谷将太インタビュー】
「どんな博雅であったら晴明にそう言わせることができるのか」…常に意識した“ある言葉”

 源博雅は、ピュアでシンプルな感情の持ち主で、晴明とは対になるような存在です。同時に、監督から言われたのは「実は、博雅こそ一番悟りを開いている人間だ」ということでした。

2024.05.07(火)
著者=夢枕 獏、映画「陰陽師0」製作委員会