最初に提案して頂いた構成案は、各話の見所や次回への引きなどがよく考えられていたので、あのまま進めていたとしてもきっと良いアニメ作品になったのだろうと思います。逆に私はそういったことには無頓着で、映像作品の脚本に関しては素人丸出しであったと思うのですが、つい、全体をひとつの物語として考える小説家の感覚で、「どうせ『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』を合体させるなら、こういう構成のほうが面白くないですか?」と提案したくなってしまったのです。
大変ありがたいことに、アニメサイドの皆さんはこれにしっかりと耳を傾けて下さいました。
色々と無茶ぶりされた脚本家の方は本当に大変だったと思うのですが、アニメの脚本として使えそうなアイデアは使って頂けることになったのです。
物語の構成やテーマについて話し合った時、京極義昭監督は最も真摯に向き合ってくれたと感じています。それが監督というものなのかもしれませんが、八咫烏シリーズ全体をとても大切に考えて下さっており、意地悪な引っかけ問題のような勘所を鋭く見抜いておられるので、感心を通り越して感動してしまいました!
意見交換をする度、八咫烏シリーズを他でもない京極監督にお任せ出来たことは、一クリエイターとして本当に幸運であったとしみじみ感じます。
アニメと共に既刊も!
――とはいえ、どんなに構成パズルを頑張っても、尺の都合でカットせざるを得なかったシーンはあります!
その上、原作小説からして血縁関係、人間関係が入り組んでいて、何がどうなっているのか非常に分かりにくいのです。アニメが初見の方にとっては、映像によって理解が助けられる部分がある反面、「あれってどういうことだったんだろう?」と復習したくなる部分はどうしても出て来てしまうのではないかと思います。(まあ、これは複雑過ぎる原作が100%悪い)
そういう時は、合体していない形の『烏は主を選ばない』『烏に単は似合わない』が手助けになってくれるはずです!
2024.04.08(月)