お久しぶりでございます、阿部智里です!

 しばらくお休みさせて頂いていた当コラムですが、なんとか校了(原稿が完全に作家の手を離れる段階)までこぎつけましたので再開します!

 そうなんです。一時は「これマジで間に合わなくない?」と過去最悪のスケジュールを前に絶望させられた『望月の烏』なんですが、間に合ってしまいました。編集さん代筆のコラムで言っていた「新作のご執筆以外のことは、すべてを止めてください」というのは大げさなジョークというわけでは全くなく、実際に冠婚葬祭以外の予定は全てキャンセルして執筆に臨みました。

 一日も動かせない予定が出た時点で「このメールを見た瞬間にこの進行表を印刷してディスプレイに貼り付けてください」と言われ、白目をむいたのも今となっては懐かしい思い出です。

 
 

 内心、「時間切れになった時点で納得がいかない形だったら刊行は止めましょうと本気で言わなければ……」とこっそり覚悟を決めていたのですが、それは杞憂に終わりました。小説のことだけしか考え(られ)ない状況というのは思いがけず筆が進むものでして、作品のクオリティ的にも「これなら!」と本人的に納得がいくところまでちゃんと行きました。

 むしろ、仕上げ作業はいつもの進行よりも余裕があったほどでして、「なんででしょうね?」「次も同じ方式のほうがいいかもしれないですね」「いや、それは流石に……」みたいなことをスパルタ編集さんとやいのやいの言い合っております。

 そして、毎度のことながら、溜息が出るほど素晴らしい装画も名司生さんにしっかり描いて頂きました!

 まだ公開されていませんが、裏表紙までめくると絵巻物みたいでさらにすごいんですよ!! 今回もたくさんのラフと打ち合わせを重ね、本当に最高の装画にして下さいました。

 描いて頂いたお花のひとつひとつにも意味があり、読み終わって見返してみると「あ、これは!」と気付く仕掛けもあり……。またいつか皆さんにラフを見せびらかしながら、名司生さんご自身から色々お話を伺う機会を作りたいですね。

2024.02.15(木)