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「益子焼ナイト」で地元の民藝に親しむ

 「界 鬼怒川」では、益子焼、黒羽藍染(くろばねあいぞめ)、鹿沼組子、大谷石といった、栃木の伝統工芸を館内の随所に取り入れています。全国の「界」で展開している、ご当地を楽しむ催し物=ご当地楽は、益子焼にスポットを当てた「益子焼ナイト」。

 参加者はまず、豆皿ギャラリーから自分好みの器を3つ選んでスタンバイ。選んだ器が益子焼かどうか? を探りつつ、益子焼の歴史や、特長、作り方などを楽しく学んでいきます。

 滞在を通して触れてきた益子焼の魅力を見つめ直すことで、実用の中にある美と、その面白さ、奥深さを実感できるはず。気に入った器があれば、スタッフに作家名を聞いて窯元を訪ねてみては? 毎年ゴールデンウィークと11月3日前後に開催される「益子陶器市」に合わせて再訪するのもおすすめです。

 最後は、「界 鬼怒川」オリジナルとしてつくられた、益子焼楽器によるミニライブ。陶器の笛の澄んだ音色、壺状の打楽器のふくよかな響きは、初めてなのにどこか懐かしく、じんわりと心にしみてきます。

地域の伝統に癒される「とちぎ民藝の間」

 客室は48室すべてがご当地部屋の「とちぎ民藝の間」。ローベッドとソファを配し、土地の民藝を随所に取り入れています。民藝とはもともと「民衆的工芸」の略で、日常的につかわれる工芸品を意味する造語。

 高級な美術品ではなく、名もなき職人たちがつくる日用品のなかにこそ美しさ(用の美)があるとした、柳宗悦(やなぎ むねよし)、河井寛次郎らによって提唱され、全国に広がりました。栃木の益子焼、黒羽藍染などもその思想、運動の流れの中で発展してきたものです。

 客室は比較的コンパクトながら、大谷石を使ったバルコニー空間を広めにとってあるため、そこも含めてリビングといった感じ。これからの季節は、バルコニーのチェアで新緑を眺めながら、くつろいだ時間を過ごすことができます。

 星野リゾートが全国22カ所に展開する温泉旅館ブランド「界」。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を活かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求しています。

 栃木県鬼怒川温泉の「界 鬼怒川」は、民藝と縁の深い土地柄を活かし、益子焼、黒羽藍染、鹿沼組子、大谷石といった伝統工芸を取り入れたおもてなしが評判の宿。どこに移動するにも鬼怒川の自然を身近に感じられる、中庭を中心としたランドスケープデザインが特徴です。後編では、ご当地の名物や旬の素材をふんだんに取り入れた食事を中心にご紹介します。

界 鬼怒川

所在地 栃木県日光市鬼怒川温泉滝308
電話番号 050-3134-8092(界予約センター)
宿泊料金
◆2名1室利用時1名あたり31,000円~(税サ込・夕朝食付き)
客室数 48室
チェックイン15:00/チェックアウト12:00
アクセス 東武鬼怒川温泉駅から車で約5分
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikinugawa/
●Wi-Fiあり

次の話を読む「界 鬼怒川」【後篇】 猪、桜鱒、干瓢、湯波… 益子焼の器で味わう山川の美味

Column

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2024.04.03(水)
文=伊藤由起
写真=志水 隆