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 東京・文京区にある小さな韓国食堂「ビストロジョンジ」。オーナーシェフのキム・スジンさんが赤くない、ただ辛いだけじゃない、現在(いま)の韓国で注目されている「オーガニックコリアン」の料理レシピを紹介します。


「食べることが大好きな料理オタクなんですよ」

 「料理オタクなんです」と笑うスジンさんは韓国・釜山の出身。料理好きな母に育てられ、子供の頃から食べることが大好きだったそうです。結婚後に家族で来日し、子育てをしながら日本で専門学校に通い、和食、フレンチ、イタリアンの料理を学びました。

 そして、母直伝の料理だけで満足することなく、祖国の料理を極めようと韓国王朝宮廷料理の第一人者である韓福麗(ハン・ボクリョ)氏のもと、宮中飲食研究院で宮廷料理も修得。地元・釜山でワインレストランを経営したり、オーガニック仏菓子メーカーの立ち上げや日本の韓国料理店のコンサルティングも手がけたことも。在住していた北海道、大阪、東京では韓国料理教室を主催し、その料理や人柄に魅せられた人がたくさんいます。

 今回はそんなスジンさんに簡単に作れる韓国の常備菜を教えてもらいました。

「いつも必ず冷蔵庫に入っている玉ねぎの醤油漬けです」

 巷ではプルコギ、サンギョプサル、ヤンニョムチキンなど肉を使ったメニューが人気ですが、韓国料理はとても野菜を多く使うそうです。時間のある時に作っておいて、毎日の食卓に並べたい簡単な常備菜を教えてもらいました。

「新玉ねぎの醤油漬けはそのまま漬物感覚で食べてもよし、他の料理のタレとしても使ってよし、の万能レシピです。漬けダレはほのかにピリッと甘辛く、また冷蔵庫で保管するうちに熟成が進み、変わっていく玉ねぎの食感も楽しんでください」

2024.04.03(水)
文=大滝美恵子
写真=志水 隆