この記事の連載
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小さな韓国料理食堂「ビストロジョンジ」とは?
韓国語で「醤油、コチュジャンなどを入れる小さな器」と言う意味の「ビストロジョンジ」は、東京・文京区東大前にある小さな韓国料理食堂。オーナーのキム・スジンさんが作る料理は赤くない、辛すぎない、韓国料理の概念を覆すオーガニックコリアンキュイジーヌです。「だしを丁寧に取り、醤油や味噌、コチュジャンなどの調味料もすべて手作りしています」とスジンさん。すべての皿で、素材の味が生かされた、優しく澄んだ味わいが光ります。
「“美しい”味の料理ですね」
「ビストロジョンジ」は2022年5月にオープン。カウンター5席とテーブルが2つだけの小さな店です。笑うと目が三日月型になるスジンさんは、カウンターの中で忙しく手を動かしながら、お話する口も閉じる暇がありません。料理教室で生徒たちに長く料理を教えてきた経験もあって、作り方、味はもちろんのこと、韓国の食文化や在日外国人として感じたたくさんのことを伝えたい気持ちが溢れてしまうのだそうです。
食べに来たお客さんは「どうしてこんなに美味しいんですか?」と尋ねずにいられません。スジンさん曰く「有機栽培の野菜や旬の美味しい魚、肉など、いい素材を使うことが一番大切なんです」
その想いは飲み物のラインナップにも現れています。韓国料理店なのに、ドリンクメニューは自然派ワインが中心で、マッコリがありません。「納得のいくものが見つからなくて」と、現在、地元・釜山などで酒蔵を訪ね歩いているそうです。
撮影が終わった後、スジンさんの料理を口にしたカメラマンが「”美しい”味の料理ですね」と呟きました。有機栽培の野菜や旬の素材と、一から手作りする調味料が合わさった料理は、塩加減、辛さ、甘みなど全ての味わいがとてもクリアに際立ち、素材の味がストレートに生かされているのです。
金 秀珍(キム・スジン)
文京区東大前「bistro JONGJI(ビストロ ジョンジ)」オーナーシェフ。日本ソムリエ協会認定J.S.A.ソムリエ
韓国・釜山出身。結婚後、韓国人の夫の仕事の関係で来日。大阪の辻調理師専門学校にて和食、フレンチ、イタリアンの基礎を、アカデミー・デユ・ヴァン大阪校でワインについて学ぶ。韓国王朝宮廷料理の第一人者である韓福麗(ハン・ボクリョ)氏のもと、宮中飲食研究院で宮廷料理を修得。釜山でワインレストランを開業。オーガニックフランス菓子メーカーの立ち上げや日本の韓国料理店のコンサルティングも手がける。北海道、大阪、東京で韓国料理教室を主催。2022年5月31日「bistro JONGJI」オープン。
bistro JONGJI(ビストロ ジョンジ)
2024.04.03(水)
文=大滝美恵子
写真=志水 隆