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石仏を安置し、日々の暮らしの安全を願った史跡「岩屋山石窟」(新潟県指定文化財)

 宿根木エリアに到着したら、暗くなる前に宿の周辺を散策。宿根木集落の裏の岩山には、「岩屋さん」と呼ばれ親しまれる「岩屋山石窟」がありました。古くから霊場として信仰されており、佐渡の島民の信心深さを見ることができる史跡です。竹藪の遊歩道を上がると洞穴前の広場には、四国遍路の八十八ヶ所霊場にちなんだお地蔵様が半円状にずらり。

 奥へと足を進めると石窟があり、ただならぬ神聖な空気が。もとは波打ち際にあった海食洞が持ち上がったもので、中には観音堂、石仏、石塔などが置かれ、岩肌には弘法大師の作と伝わる磨崖仏が彫られています。さらに奥には「船魂様(ふなだまさま)」という船乗りの信仰が厚い十一面観音が安置されていました。

 また、縄文土器や石器などが出土しており、縄文時代は生活空間であった場所が、中世以降に信仰の場になったと考えられています。

岩屋山石窟

所在地 新潟県佐渡市宿根木188

2024.03.29(金)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史