「なぜ別れないでいるの?」と母・樹木希林に問いただした

内田 私はいわゆる優しいお母さんらしいことをしてもらった記憶がありません。母はたまにしか現れない父のことをすごく敬う。思春期になるとそれがなんだか嘘っぽく思えてきた。

 怖いから母に反抗まではできなかったけれど、「なぜあんな人とずっと別れないでいるの?」と問いただすことはしたんです。そのとき、対等のひとりの人間として私に応えたのだと思います。「どんなに破天荒でもひとかけら純なものがあるから」と。

 母は若い頃の1度目の結婚で穏やかな日常を得て、その日常を5年間続けたら、自分のメラメラと燃えたぎるマグマのようなものをぶつけたくなって、幸せな夫婦関係を解消してしまった。

 その後、ブラックホールのような虚無感に襲われたけれど、内田裕也という嵐が向こうからやって来たときに、このカオスのような男を自分の人生に取り込んだら、虚無感に苛まれずに済むのではないかと思った。つまり、母は父を利用したというんです。だから始めたものは続けていこうと、自分に誓ったんでしょうね。

小泉 きっと途中で気づいたんでしょう。自分の罪だと感じたとき、これは貫かなければいけない。手を離したらもっといけないものが残ると思ったのではないでしょうか。

内田 そうですね。私は母に甘えることはできなかったけど、自分の生き方について逃げずに話してくれたということが、私と母との唯一の繋がりだったと思います。

 

内田也哉子が恋愛について、小泉今日子に聞きたかったこと

内田 今日子さんにぜひ伺いたかったことがあって、このように大勢の皆さんの前で聞くことではないとは承知しつつも、抑え切れず(笑)。私は15歳で本木と出会ったから、いわば初恋の相手みたいな人と結婚して、28年以上夫婦でいるわけです。一方、今日子さんはたくさん恋愛されていると思われ……。

小泉 本木さんにも同じようなことを言われましたよ(笑)。

2024.02.11(日)
文=こみねあつこ