この記事の連載
パリの美味しいミュージアム #1
パリの美味しいミュージアム #2
パリの美味しいミュージアム #3
パリの美味しいミュージアム #4
パリの美味しいミュージアム #5
CREA Traveller 2024 vol.1の特集は、「パリ」。
歴史と文化が幾層にも折り重なるパリは、エレガントにしてエネルギッシュ。注目のガストロノミーでトップシェフの感性に感激し、ブラッスリーやブイヨンでワイン片手に会話に花を咲かせ、クラフトマンシップの結晶、至高の逸品との出会いに心を躍らせる――。文化・芸術を愛するこの街を歩くと、いたるところで“サヴォワールフェール”の煌めきが私たち旅人を迎えてくれることに気付くはず。いま最も訪れたい旅先・パリで見つけた、とっておきの「美しいもの」「美味しいもの」をご紹介します。
CREA Traveller 2024 vol.1
パリの煌めき
特別定価1,800円
このところパリでは新しいアートスポットや、これまでの施設をバージョンアップしたものが続々と登場している。魅力的なのは、そこにもれなく美味しい店が入っていること。
観る楽しみと味わう幸福。その両方を叶えてくれる、とっておきの場所を5回に渡りご紹介しよう。
誰でも入館可能文化大国の懐の深さ
◆Bibliothèque Nationale de France Richelieu(フランス国立図書館 リシュリュー館)
Rose Bakery - Tea Room à la BnF-Richelieu(ローズベーカリー BNFリシュリュー・ティールーム)
![上階は有料のミュージアム。本だけでなく、版画、写真、地図、メダル、宝飾品なども収蔵されている。王朝時代を彷彿させるギャラリーの中央には17世紀の天球儀が。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_587e3c67e71ef986d02750dfbbb205bc379428.jpg)
フランス国内で印刷されたすべての出版物の納本を義務付けた、14世紀の王室文庫からの伝統をもつフランス国立図書館。
![館の中央部分、21世紀の大改装を象徴する螺旋階段。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/1280wm/img_d6b2aeb03e794680af1f0057375d0921133008.jpg)
セーヌ左岸のフランソワ・ミッテラン館と、右岸のリシュリュー館に4,000万点を超える資料が収蔵されているという。
![フランス・ユール県で農民が発見した銀食器一式。1~3世紀の制作と推定される逸品。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/c/1280wm/img_ecfac20e984b4e488916f1eccc6284fc86889.jpg)
そのうち、古いものでは17世紀太陽王の時代からの建築が層を成すリシュリュー館が12年に及ぶ大工事を経て、2022年9月に再び扉を開いた。
![フランス国立図書館 リシュリュー館の「オーバルルーム」。そのスケールと美しさに圧倒される。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/d/1280wm/img_2dca990bd7991f81676712dcf9d2d7d9236296.jpg)
圧巻は「オーバルルーム」。高さ18メートルの天窓から光が入る巨大な楕円形の空間に2万点余りの蔵書が並んでいる。
![太陽王ルイ14世が制作させたメダル。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/1280wm/img_cd33302a56748697aa012ff0adf25e4963603.jpg)
景観だけでもすでに素晴らしいが、誰でも無料で利用できると聞けば、ちょっと驚いてしまう。図書館登録カードなども必要ない。
![ベートーヴェンが直筆した「第九」の楽譜の一部も(展示品は入れ替えあり)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/1280wm/img_5c2efe223a3f8329bf47eb99ef15785388788.jpg)
一日限りの旅行者であっても、簡単にこの風景の一部になれるのだ。中央デスクの方は、並んで開館を待ち構えて席を確保する常連さんたちに譲るとして、ソファで料理本や美術書をゆっくり眺めたりするのがいい。
![館内の書店には、昔の本を復刻した国立図書館オリジナルの絵本も。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/1280wm/img_f0017dcdd67e4001592b5065ec81c77991097.jpg)
あるいは、美しく復元された建物の装飾を愛でつつ書架の間を歩くだけでも、この稀有な場所を十分に満喫することができる。
![「ローズベーカーリー」の入口。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/1280wm/img_97cc160b9a2c13012e9f3be9a694e48b97157.jpg)
「オーバルルーム」の隣、一見すると慎ましやかに扉を開いているのが「ローズベーカリー」のティールーム。
![グリーンサラダが付いたキッシュプレート。11.5ユーロ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/e/1280wm/img_5ea0d657a1830e445e33666bc319636283911.jpg)
ローズさんとジャン=シャルルさんの英仏カップルが立ち上げ、パリですでに20年以上愛されてきたこの店が登場したことで、誰にでも開かれた図書館がさらに魅力的なものになった。
ヘルシーなキッシュや人気のキャロットケーキが、ほっこりやさしい口福をもたらしてくれる。
![美しい建築と庭園。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/1280wm/img_c4223781e0ea6230db8112699bdafff2226939.jpg)
Bibliothèque Nationale de France Richelieu(フランス国立図書館 リシュリュー館)
所在地 5 rue Vivienne 75002 Paris
[図書館]
電話番号 01 53 79 53 79
開館時間 10:00~18:00(火曜 10:00~20:00)
休館日 月曜、年7回の休館日
入館料 無料(ミュージアム10ユーロ)
Rose Bakery - Tea Room à la BnF-Richelieu(ローズベーカリー BNFリシュリュー・ティールーム)
電話番号 01 53 79 86 50
営業時間 10:00~18:00(火曜 10:00~19:00)
定休日 月曜
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.01.15(月)
文=鈴木春恵
撮影=橋本 篤
編集=矢野詔次郎
CREA Traveller 2024 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。