名店ひしめく京都で、この幸せを存分に享受しない手はありません。はずせない定番から、エッジの効いたニュースな一皿まで。偏愛せずにはいられないあの店・あの味を巡って見えてきたのは、自由で多彩、そしてどこまでも上質な京都の食の真髄でした。
今回は「偏愛グルメアドレス」ページより、麺も丼も、さらには「大人のお子様ランチ」まで(!)幅広くご紹介します。
出汁がおいしいラーメン
京都ラーメンの真髄は、やっぱり“出汁”に宿っていた!
歴史120年。昆布老舗の挑戦的一杯
◆【五辻千本東】昆布と麺 喜一
![昆布らぁめん1,152円(別途1階で1点昆布関連商品購入が必要)。極上昆布以外に干し貝柱などもスープの旨みを力強く支える。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/3/1280wm/img_e38e62d043cf947e1e5327db2666258997276.jpg)
創業明治35年。「五辻の昆布」といえば、京都の高級割烹御用達の昆布専門店。
その老舗2階の新フロアは、要予約・一斉スタート制。理由はラーメンが出る前に独自のお作法(出汁セミナー?)があるから。
![食前に利尻昆布・羅臼昆布・真昆布の、出汁の味と香りを体験。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/1280wm/img_3ef1bfc072b921f751bcd8a250e5a5db72467.jpg)
それはまず、3種の産地違いの昆布出汁をテイスティングし、次に目の前で削りたてのおぼろ昆布を味わうという趣向。
別格の高級昆布ならではの味と香りで五感が活性化した後に出る、昆布スープのラーメンは豊潤な滋味と深い余韻が心に焼きつく。その体験はまさに全く新しい“昆布アミューズメント”、そのものです。
![振り切ったデザインは最先端ノルディック・バーのよう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/d/1280wm/img_9d19d5dfb41d6a9790232a569e37bf7767390.jpg)
昆布と麺 喜一
所在地 京都市上京区五辻通千本東入ル西五辻東町74
電話番号 075-431-0719
営業時間 11:00~、12:00~、13:00~各一斉スタート
定休日 日曜、不定休
Instagram @kiichi5224
●完全予約制
はんなり上品、ハマグリ出汁の清新
◆【塩小路西洞院】貝だし麺きた田
![特製蛤らぁめん1,150円。北海道産小麦「きたほなみ」の全粒粉を使った特製細麺が、しっかりとスープにからむ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/1280wm/img_d6c59991de33c88547a5fa7313558868139577.jpg)
朝7時開店。行列は時に、朝6時半から。その人気の理由はスゥ~~ッと優しく美しく、五臓にしみ渡る、貝出汁スープの優美さゆえ。
蛤らぁめんのスープは贅沢至極にも名産地、三重県・桑名と千葉県・九十九里浜産ハマグリのみを使用。スープが濁りすぎないよう、弱火でゆっくり貝の旨みを煮出した技術力の高さも、しみじみと舌にしみる。
![貝のしぐれ煮ごはん(小)150円。ラーメンのスープをかけていただくのが、常連さんのスタイル。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/1280wm/img_c8c8cf4534df8672015025ef223d69aa64099.jpg)
別途、アサリ、ホタテ、ハマグリ出汁をブレンドし、より濃厚な貝のコクが楽しめる「貝だし麺」もあり。
訪れればきっと、京都滞在中に2ヴァージョンとも制覇したくなる。
![JR京都駅から徒歩7分ほど。スタッフのほとんどが女性で、女性客一人でも訪れやすい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/1280wm/img_589d79398ccaabcdb6c180b02cb33746115287.jpg)
貝だし麺きた田
所在地 京都市下京区北不動堂町570-3
電話番号 075-366-4051
営業時間 7:00~22:00 L.O.
定休日 無休
Instagram @kaidashimen_k
※カード不可
2023.11.06(月)
文=寺下光彦
写真=橋本 篤
CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。