名店ひしめく京都で、この幸せを存分に享受しない手はありません。はずせない定番から、エッジの効いたニュースな一皿まで。偏愛せずにはいられないあの店・あの味を巡って見えてきたのは、自由で多彩、そしてどこまでも上質な京都の食の真髄でした。
今回は「偏愛グルメアドレス」ページより、麺も丼も、さらには「大人のお子様ランチ」まで(!)幅広くご紹介します。
出汁がおいしいラーメン
京都ラーメンの真髄は、やっぱり“出汁”に宿っていた!
歴史120年。昆布老舗の挑戦的一杯
◆【五辻千本東】昆布と麺 喜一

創業明治35年。「五辻の昆布」といえば、京都の高級割烹御用達の昆布専門店。
その老舗2階の新フロアは、要予約・一斉スタート制。理由はラーメンが出る前に独自のお作法(出汁セミナー?)があるから。

それはまず、3種の産地違いの昆布出汁をテイスティングし、次に目の前で削りたてのおぼろ昆布を味わうという趣向。
別格の高級昆布ならではの味と香りで五感が活性化した後に出る、昆布スープのラーメンは豊潤な滋味と深い余韻が心に焼きつく。その体験はまさに全く新しい“昆布アミューズメント”、そのものです。

昆布と麺 喜一
所在地 京都市上京区五辻通千本東入ル西五辻東町74
電話番号 075-431-0719
営業時間 11:00~、12:00~、13:00~各一斉スタート
定休日 日曜、不定休
Instagram @kiichi5224
●完全予約制
はんなり上品、ハマグリ出汁の清新
◆【塩小路西洞院】貝だし麺きた田

朝7時開店。行列は時に、朝6時半から。その人気の理由はスゥ~~ッと優しく美しく、五臓にしみ渡る、貝出汁スープの優美さゆえ。
蛤らぁめんのスープは贅沢至極にも名産地、三重県・桑名と千葉県・九十九里浜産ハマグリのみを使用。スープが濁りすぎないよう、弱火でゆっくり貝の旨みを煮出した技術力の高さも、しみじみと舌にしみる。

別途、アサリ、ホタテ、ハマグリ出汁をブレンドし、より濃厚な貝のコクが楽しめる「貝だし麺」もあり。
訪れればきっと、京都滞在中に2ヴァージョンとも制覇したくなる。

貝だし麺きた田
所在地 京都市下京区北不動堂町570-3
電話番号 075-366-4051
営業時間 7:00~22:00 L.O.
定休日 無休
Instagram @kaidashimen_k
※カード不可
2023.11.06(月)
文=寺下光彦
写真=橋本 篤
CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。