神戸牛から始まる中盤戦。蒲焼きに炙りに、変化を堪能
さて、ここで新たな日本酒が登場。「酒造りの神様」とうたわれる農口尚彦の愛山です。蒸し米を潰さずゆっくりと自然の力で発酵させる山廃仕込みで造られた、やや辛口でフルーティーな味わい。
100年以上の歴史を誇る東京の堀口切子が制作した美しい江戸切子のぐい呑みでいただきます。
8品目は、炭焼きの神戸和牛。鮨の合間に和牛とは変化球に感じますが、脂が強すぎず上品で食べやすく、絶妙な味変です。食べ終わったあとに、亀と富士山という縁起のよいモチーフのバランが登場する演出も。
9品目は鮨に戻って、カナダ産マグロの赤身の漬けです。漬けとはいっても、醤油の主張はとっても控えめ。本当にちょうどいいラインを保っているのです。
お次は、巻物です。アイルランド産ウナギを蒲焼きにして、炙った海苔でふわっと巻いた手巻き風。ウナギは生きた状態で入荷できるという条件で、アイルランド産を採用しているとのこと。コースを通していえることですが、こちらも脂ののり方が絶妙で、非常に上品でした。
続く11品目は、ポルトガル産金目鯛の握り。軽く炙られた皮が香ばしくほどよいアクセントに。12品目に登場したのは、エビです。こちらも、備長炭で軽く炙ったイタリア産の赤いエビに、柑橘の爽やかな香りがほどこされています。
2023.10.23(月)
文・撮影=安田 和代(KRess Europe)