この姉妹を観て、愛おしいと感じてくれたらうれしい

――姉妹の葛藤、家族のしがらみなどが丁寧に描かれていると感じました。

 姉妹とか家族って、年齢を重ねていくと、身内ではあるけれど、一人ひとりの個人としての向き合いというのが出てきますよね。父として、母として、ということはもちろん、人間としてこういう部分は好きだけど、ここは嫌い、みたいな。そういう部分を客観的に描きたいなと考えていたので嬉しいですね。

――岩井俊二監督からも「火花散る姉妹たちのエゴが見苦しくも愛おしい」とコメントが寄せられていました。

 四人姉妹のそれぞれが自分、と言いましたが、本当にそうで。私の脳内でのジレンマを描いているのがこの作品なのかもしれないです(笑)。天使と悪魔の争い、みたいな。

 ある種諦めたお姉さんたちと、まだまだ仕事ややりたいことに邁進する四女。どちらが正しいということではなく、どちらも私の中にあるもの。人間ってそういう風にあいまいな矛盾したものですよね。

 みんなこうしたジレンマに悩まされていると思うんです。だから岩井さんもこの姉妹を見て、愛おしいと感じてくれたのかな、と思います。

――その衝突から感じる愛おしさを観てほしい?

 そうですね。でもすごく自由に撮った作品なので、先入観なく、どこに話が向かっていくんだろうって、気楽に観てほしいです。出演者全員が魅力的に撮れているので、その演技の部分も楽しんでもらえたら。

映画『四人姉妹』

キャスト:鈴木つく詩、大森亜璃紗、小野ゆり子、三枝奈都紀
監督・脚本:大森亜璃紗
8月17日(木)にテアトル新宿、9月6日(水)にシネ・リーブル梅田にて上映
公式Twitter『四人姉妹』 @yoninshimai4

2023.08.17(木)
文=CREA編集部
写真=今井知佑