この記事の連載

 料理家の栗原心平さんが母・栗原はるみさんやご家族から受け継いだ、“リアルな栗原家のごはん”をまとめたレシピ本としてヒットした『栗原家のごはん』。

 今回は、3月に発売したばかりの第二弾『栗原家のごはん 一年の食卓』(大和書房)より、栗原心平さんが毎年必ず作るという栗原家伝統の味「グリーンピースごはん」レシピをご紹介します。


「わが家の一年にお付き合いください」

 この『一年の食卓』では一年を通して、ふだん僕自身がつくる“四季の料理”を掲載しています。日本ほど一年で食材の旬が変化する国はほかにはないと思っています。息子には、できる限り“旬の味”を知ってもらいたいと、日々、家族のために料理をつくっています。子どもにとってはまだ、難しい食材や味でも、大人になるにつれ、味覚も変化し食べられるようになるものです。

 少年時代に、そうした食材にふれた記憶がじつはとても大切だと考えています。彼が大人になったとき、「この味は子どものころに食べた」と思い出してもらえるように。そして、食材の旬をおぼろげながら記憶し、大きくなって家庭を築いたときに、僕と同じように家族と一緒に旬を楽しむ暮らしを紡いでもらえたら、父としてこんなにうれしいことはありません。

 わが家ではグリーンピースごはんや、たけのこと生ハムのサラダのような「恒例行事的につくる料理」がいくつかあります。それぞれの食材が走りの時期にスーパーで購入し、つくる楽しみ、そしてもちろん、旬がゆえのおいしさを堪能する。些細なことですが、一年を通してサイクル化していることが、丁寧で豊かな暮らしかな、と思っています。

2023.05.17(水)
文=栗原心平
写真=寺澤太郎