そしたら社長に「そういえば実家が焼肉屋をやっているって言ってたよね。だったら、焼肉屋のオーナーとかはどう?」と言われて。それを聞いて、「たしかに!」って思ったんですよね。だからその場で「じゃあ焼肉屋をやります!」と宣言して。社長に背中を押されたこともあって、その後すぐに開店の準備を始めました。

――AKB48在籍中にお店をオープンさせていますよね。

 

内田 当時のAKB48は副業禁止だったので、本当はアイドルと店舗経営の同時並行はダメなんです。でも、メンバーやスタッフを始め、周りの方々が私の「次の道に進みたい」って気持ちを尊重してくれていたのかな、と思います。

20歳で5000万の借金を背負う

――急に焼肉店を始めることになって、周りの反応はいかがでしたか。

内田 両親は応援してくれましたね。私がやりたくて、信頼している事務所の社長も勧めているのならやったほうがいいって。物件探しや資金調達も一緒に動き回ってくれたんです。うちの母親は当時のことを「子育てをしているときより忙しかった」と言ってました(笑)。 

――オープンのために、5000万円の借金をしたことが話題になりましたよね。

内田 両親と一緒にオープンにかかる費用を計算したんですけど、やっぱり店舗運営にはそのくらいは必要だよね、と。その金額を見たときは「さすがにこれはやばいぞ」と思いましたけど、当時は若かったから「なんとかなるでしょ」と勢いで借りました。でも、今考えたらすごい額ですよね。

不安よりも「最低でも10年は続けたい」という思いのほうが強かった

――20歳にして5000万円の借金を背負うことへの不安はなかったのでしょうか。

内田 もうオープンに向けて動き始めていたし、返済計画も立てて、5年ほどで完済できる目処はついていました。だから、スケジュール通りにいけば大丈夫かなと。そのときは、不安よりも「最低でも10年は続けたい」という思いのほうが強かったです。

――今年で10年目を迎えましたが、借金返済の目処は……?

内田 まだ残っています(笑)。ずっと売上が好調だったわけではないので。でも、最近やっと完済が見えてきました。計画どおりには返済できなかったけど、長くやれているからこその価値も生まれているのかな、と思っています。

撮影=橋本篤/文藝春秋

「これ以上借金を増やすわけにはいかない」コロナ禍で売上激減、給料ゼロに…元AKB内田眞由美の焼肉店が乗り越えた“閉店危機” へ続く

2023.04.30(日)
文=仲 奈々