――外国で体調が悪いときは、母国語が通じる人に甘えたくなりますからね。
平野 「ごめん、綾がいないとママは何もできない」って言ってくるんです。不安だったでしょうね。でも、それだけ信頼されているのが、うれしかったです。父のように頼ってくれているんだな、と。父がやってきたことをこれからは私がやるんだ、という自覚も持てました。
25年を迎えた芸能生活…次第に起こった“変化”
〈昨年、事務所から独立し、2023年で芸能生活25周年を迎える平野。子役として、アイドルとして、歌手として、舞台俳優として、文字通りジャンルを横断して活動を続けてきた彼女は、最近は仕事での変化を感じているという。〉
――2022年に事務所から独立しましたが、その理由は?
平野 留学にも気持ちよく送り出してくれて、本当にお世話になった事務所なので、当初は独立する気はなかったんですよね。
ただ、声優の仕事と舞台の仕事は、スケジュール感とかロジックがまったく異なるので、両方を把握できるスタッフは限られちゃうんです。結局、私がいちばん把握できている。だから独立前からマネジメント部分は自分の裁量に任されていました。
そういった経緯があって、事務所に移籍してから10年経って契約が満了するタイミングで独立することになったんです。「それもいいかな」と。
「舞台女優にとっていちばん難しい年齢」になって起こった“すごく不思議なこと”
――いままでと比べて、自分に求められる役回りが変わってきたと感じますか?
平野 30代半ばって、舞台女優にとっていちばん難しい年齢なんです。もっとベテランか、あるいは若手に役が振られやすいんですよね。そういった状況のなか、いますごく不思議なんですけど、「アニメで求められる役柄」と「舞台で求められる役柄」が、すごく似てきたんですよ。
――具体的には?
平野 アニメでは、ラスボスっぽい役どころが多いですね。
――それは舞台でも?
2023.04.08(土)
文=加山竜司