2022年4月期のドラマ「やんごとなき一族」(フジテレビ系)の挿入歌「恋だろ」が大ヒットした5人組のバンド・wacci(ワッチ)。

〈♪性別も年齢も 家柄も国籍も 外見も年収も 過去も何もかも全部 関係ないのが恋だろ 乗り越えられんのが恋だろ〉

 恋する相手へのまっすぐな想いを歌った「恋だろ」は多くの共感を集め、動画やサブスクの総再生回数は1億回を突破。同年末の第64回日本レコード大賞で優秀作品賞を受賞した。

 2022年に最も注目を集めたアーティストの1組となったwacciだが、実はキャリアは長い。結成は2009年、メジャーデビューは2012年。“10年目の大ブレイク”を果たした今、何を思うのか。ほとんどの曲の作詞・作曲を手がけるギター・ボーカルの橋口洋平(39)にヒット曲「恋だろ」の誕生秘話を聞いた(全3回の1回目/#2、#3へ続く)。

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「サブスクの時代に合っているのかもしれません」

——「恋だろ」以降、一気に認知度が高まっていきました。

橋口 親戚や友達、知り合いではない、自分とは関係ない遠いところで「wacciを知らない人」が一気に減った感覚がありましたね。特に10~20代の認知度は結構あると思います。「wacciね。名前だけ、曲だけは知ってるよ」という人が増えた印象です。

 今の音楽シーンは楽曲至上主義。「気になる、聞きたい」と思った瞬間に、1曲単位で曲を購入することができる。これって、言い換えると「好きな曲に出会いやすい時代」なんですよ。それだけwacciを知ってもらいやすい。「恋だろ」は知ってるけどバンドは知らない人は当然いるし、逆も然り。2022年にやったライブでは「恋だろ」以降にwacciを知ってくれた人が会場の7割くらいを占めていたこともありました。はじめましてのお客さんは増えましたね。僕らは“一曲入魂”でやってきたバンドだから、サブスクの時代に合っているのかもしれません。

2023.03.23(木)
文=「週刊文春」編集部