――では、モデル時代はずっと「痩せていなければ」という強迫観念がありましたか。
道端 ありました。いつもそう思っていましたし、ダイエットは何度もやりました。
実家では母のモデル教育のおかげで、お菓子禁止だったんですよ。それがずっとストレスだった15歳女子が、栄養について何も知識がないまま、東京で一人暮らしを始めたんです。どうなると思います?
――食べますね。
道端 一人暮らしがあまりにもうれしすぎて、チョコパイとかいろんなお菓子を食べまくってたんですよ。そしたらやっぱり、どんどん丸顔になって、事務所に怒られて。
……それで、本当に私はバカだったんですけど、お菓子を食べるために、ごはんをやめたんです。
お菓子に置き換えればOKと思っていた
――ごはん断ち、ですか?
道端 はい。お米のごはんを抜くのではなく、普通の食事自体をやめたんです。カロリーオーバーしないように食事自体を摂らず、お菓子だけで生活すればいいんだ、と思って。ひどいですよね (笑)。
――「ごはんをお菓子に置き換えダイエット」的な?
道端 当時は、置き換えたつもりでした。それで体重は少し落ちたんですよ。今思うと、運動してないから筋肉が落ちて、そこに脂肪がのった、ずん胴の少女体型だったと思います。
でも服は入るので、仕事はできたんです。そうやって不健康な食生活のまま、でも「体型は変わらないからOK」と思っていました。
「ハンガーのように」痩せていなければ仕事が来ない
――当時のカレンさんは専業モデルなので、服に自分を合わせる仕事ですよね。
道端 そうです。特にスチールの仕事のほうが、体のラインにシビアでした。
私がデビューした頃はまだアナログ撮影だったので、最初にポラロイドカメラでテストカットを撮るんです。だけど、ポラは体がふわっとぼやけて見えるんですよ。
――デジタル機材が出てきたのは2000年前後でしたね。当時は写真修正にもかなりの費用と手間がかかるので、今のように気軽にできませんでした。
2023.03.11(土)
文=前島環夏