たとえば、通販カタログの仕事で、1000円のTシャツを着るとするじゃないですか。「私が着ることで、1000円のシャツを1万円に見せる、それだけの仕事をして帰るんだ」というプライドは、いつもありました。
40代で“事務仕事”にも初挑戦
――その後、2度の出産を経て30代からタレントに。そして40代に入ったタイミングで独立。これは、カレンさんがやりたいことと、事務所の描く方向にズレが?
道端 いえ、トラブルなどはまったくないです。30代の初めに所属した事務所には、社長さんをはじめ、とてもよくしていただきました。こんなにいい事務所はないなと思うくらい。
――それなら、辞めなくてもよかったのでは?
道端 3年前に40代に入り、今後のキャリアアップを考えたときに、商品開発やプロデュースなど、裏方の仕事もやりたいと思ったんです。
そうなると、マネジメント経験がないのはまずいので、自分自身で把握しながら仕事したいなと。今は会社を設立して、スケジュールからお金の交渉まで、私がやっています。
――今回の取材が決まるまでも、全てカレンさんと直接のやりとりで驚きました。
道端 普通の方々は、自分の仕事は自分でやりますよね。私も同じように、自分でやりたかっただけなんです。事務仕事も楽しいので、何でもトライしてみるものだなと思います。
未婚だから「息子たちが傷ついていないかな、と…」
――カレンさんは、「タレント」や「ボディメイクの選手」という肩書きに加え、「会社経営者」でもあり、「男児2人の母」でもありますよね。表に出さない苦労もあると思いますが、ご自身を支えるものは何ですか。
道端 やっぱり、子供の存在ですね。これはめちゃくちゃ大きいです。自分のところに生まれてくれて本当にうれしいし、ありがたいし。
今、長男が18歳で次男が15歳ですが、2人とも、とてもいい子たちなんですよ。だから私は、彼らに何を返せるだろうか……と、そればかり考えて生きてきました。未婚のままやってきたので、彼らが傷ついていないかなと思ったり。こんな私が、この子たちがいる幸せを受け取っていいのだろうか、と。
2023.03.11(土)
文=前島環夏