「これがペットロスなんだ」と感じた瞬間

――今もはむはむについて、ファンの方から反応などはありますか?

 俺が発信してないのでないですね。みんなも言葉に詰まるだろうなと思ったので、発信しないようにしてたところもあったというか。亡くなってからちゃんと話すのも今回が初めてですし、僕もまだわかってないというか、言葉にするのが難しいんですよ。言うと、自分の面白くない部分にもなるっていうか。

 けど嘘はつけないですからね。だから今言えるのは、僕がどうしても動物が好きだったんだろうなということですよね。

 はむはむを大事にしたのは何か目的があってのことではないですし、たとえ仕事と板挟みになったとしても、はむはむをないがしろにすることはできなかった。(自分が)そういう人であったのはしょうがないよねって。だからまぁ、こういう時代でよかったです。仕事を飛ばした時もみんな、心配してくれて。異例中の異例ですよね。

――“はむはむ”っていう名前の付け方には芸人・野田クリスタルらしさを感じますよ。

 そうだとすると、はむはむと暮らすようになってから人間らしくなったのかなと。賞レースで優勝してそうなったんじゃなく、はむはむが人間味を与えてくれたんですかね。そうなって面白くなくなったと思う人もいるかもしれないですけど、まぁしょうがないでしょうという気持ちでずっといました。

――ペットロスについても伺っていいでしょうか。

 はい。(いなくなったことを)受け入れられているかどうかはわからないですね。今もケージは掃除してるし、ご飯も替えてるし、何も片付けてないです。これは気持ちを引きずっているわけではなく、朝、お焼香の時にご飯を用意するのがルーティンになってるだけですけど。

――とはいえ、ケージの主はいない現実もありますよね。

 そうですね。けど、ちゃんと考える余裕はなかったし、ペットロスってどういうことなのかずっとわかってなかったんです。いなくなったのはそりゃあ悲しいし、辛いんですけど。

 1回、ペットカメラの電源を切ったことがあったんですよ。これも重い感じで捉えてほしくないんですけど、新幹線に乗ってる時、いつもの癖で見たらペットカメラがつかなくて。切ってるから当たり前なんですけど、俺、パニックになったんです。

 辛いとか悲しいとかじゃなくて、普通にできていたことができないことに焦るんだ。これがペットロスなんだって、その時思いました。

 けど、はむはむはとにかくいろいろと形に残ってたので(精神的に)助かりました。みなさんから送られてきたグッズもたくさんあるし、これを見てるだけで1年終わっちゃうんじゃないかってくらいの量の動画もあるんですよ。形として残しておくことは、自分のためになるんだなと思いますね。

――じゃあ、動物と暮らしている人は動画や写真をたくさん撮っておいたほうがいい?

 動物の負担にならないのであれば、そうしたほうがいいと思います。これはあくまで飼い主である自分のために、ですけど。そんなにすぐ、気持ちは切り替えられるもんじゃないと思うのでね。僕の場合は動画を見ることが、辛くなった時の応急処置になってるので、残しておいてよかったなと思います。

2023.03.18(土)
文=高本亜紀
撮影=深野未季
写真=野田クリスタル