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主演することは「河合さんの映画」になるということ

――映画では初めて真ん中に立つポジションになりましたが、これまでの撮影と比べて、思いやスタンス、感じたことなどは違いましたか?

 違いました。最初はポジション的にもみんなそれぞれの話がある作品なので、一応一番手に名前はあるものの、あまり肩肘張らずに、気負わずにやろうと思っていたんです。

 けど、やっぱりやっていると……主演ということは「河合さんの映画」と見られるんだなあと思ってきました。だからか、「この映画をいいものにしたい」みたいな気持ちはどうしても強くなっていきました。

 だからといって何をやったかということもないんですけど、全体を見ようとは意識していました。みんながどういう空気感で撮影現場にいるかとかは見ておこう、みたいな気持ちでした。

――それは、これまでにない立ち位置だからそう思ったということですよね。

 そうですね。やってみたことで、それ以降の自分がどんな役で出ていても、立っている場所が違うだけで一端は担っているかなと思うようになりました。どういい作品にできるか、どういい現場にできるかみたいなことを意識するようになったといいますか。この作品をやったから思えたことなので、すごくいい経験でした。

――撮影終了後、こうした取材の機会で監督やキャストと会いますよね。「あのとき、ああだったんだ!」みたいな盛り上がりもあったりしますか?

 あります、あります(笑)。先日、中川さんと対談をしたんですが、「あのときは……すみませんでした」みたいな感じで、お互い謝り合ったりして(笑)。中川さんも商業監督として初でしたし、私も初主演で、リラックスしようと思ってもたぶんお互い気合いが入りすぎていたところもあったんですよね。改めてお話して、中川さんはすごいやっぱやさしい人だなあ、と感じました。

2023.02.22(水)
Text=Kyoko Akayama
Photographs=Miki Fukano
Hair & make-up=Aya Murakami
Styling=Tatsuya Yoshida