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長崎の文化に触れるご当地部屋「和華蘭の間」

 界では、地域の文化に触れ、ゆったりと寛いで逗留を満喫する「ご当地部屋」を用意しています。「界 雲仙」も、51室の客室すべてが「ご当地部屋」。室内の各所にステンドグラスや長崎ビードロ、島原木綿など、長崎らしいモチーフを見ることができる「和華蘭の間」となっています。全客室が雲仙地獄に面し、その野趣あふれる景観を楽しめることも、大きな「ご当地」の魅力です。

 さまざまなタイプが揃う客室の中でも特徴的といえるのが、「客室付き露天風呂」。よく読んでください、「露天風呂付き客室」ではないんです。湯浴みを中心に滞在できる客室として、あえて「客室付き露天風呂」と名付けたそう。その名のとおり、滞在スペースの半分以上を露天風呂と湯上がり処が占めています。

 どっしりとした石造りの露天風呂は、雲仙地獄に向かって大きく開かれ、開放感いっぱい。目の前の地獄に今にも誰かが歩いてきそうですが、国立公園のため侵入禁止です。ご安心を。

 露天風呂とベッドルームの間には、濡れた足のまま上がることができる「湯上がり処」が。バスローブのまま、ゆったりとした湯上がりチェアに身を任せ、入浴後の少し疲れた体を休めることができます。これまでありそうでなかった、ゲストへの気配りを感じるスペースです。

 「客室付き露天風呂」の照明には、色とりどりの長崎ビードロ細工があしらわれています。ビードロとはポルトガル語で「ガラス」の意味。鎖国時代にポルトガルからガラス工芸が伝わった長崎では、ビードロを使った「ぽっぺん」と呼ばれるおもちゃが人気だったそうです。この照明のビードロも「ぽっぺん」の形を模しており、和華蘭文化の要素をここにも見ることができます。

 室内には他にも、ステンドグラスを和紙で表現したスタンドライトや、長崎の焼き物「波佐見焼」、愛らしい土人形「古賀人形」など、長崎文化がふんだんに生かされています。長崎が異国と日本を融合したハイブリッドカルチャーの先駆けの地だったことに、改めて気付かされます。

 客室にはその他にも洋室や特別室などさまざまなタイプが用意されています。最上階に位置する特別室は1室限定で、最露天風呂とテラスが付いた広々とした客室。最大4名まで宿泊できるため、家族やグループでの利用にぴったりです。

2023.01.12(木)
文=張替裕子(ジラフ)
撮影=橋本 篤