3年ぶりに行われている香取慎吾の個展が、注目を集めている。初めてパリで個展を開いてから4年。俳優、ミュージシャン、そしてアーティストとして唯一無二の輝きを放つ、その熱量はどこから湧き上がってくるのだろうか。会場を訪れた香取本人に話を聞いた。

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「出品したのは200点ですけれど、作った作品はもっとありますよ」

 根っからの表現者なのだ、この人は。

 そう実感させられるのが、渋谷ヒカリエで開催中の香取慎吾個展「WHO AM I -- SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR --」だ。

 俳優、歌手、タレント、ファッション関連……。ジャンルを超えてエンタテイナーぶりを発揮し続ける香取慎吾は近年、アート制作にも力を注いでいる。2018年にパリで初個展を開き、翌年には日本でもまとまった量の作品を披露。今展は自身3年ぶりの個展で、絵画を中心にオブジェや写真を用いた作品を含め、計200点が会場に並んだ。

 サイズの大きい作品も多く、まずはその物量に圧倒される。どの画面も色合いが豊かで、描かれているモチーフは多彩。隅々まで幾重にも描き込みが為されているのも確認できる。これほど執拗に筆を動かし色を重ねていく熱量は、いったいどこから湧いてくるのか?

 会場を訪れた香取慎吾本人に話を聞けた。

「子どものころから絵を描くのが大好きで、いまも描いている時間がいちばん好きなんです。頭の中に浮かんだものを思いのままかたちにするので、最終的にどんなものになるのか自分でもわかっていなかったりしますね。今回出品したのは全部で200点ですけど、これでも厳選してあって、つくった作品はもっともっとありますよ」

 

 なるほどだれに頼まれずとも、手を動かし続けてきたとのこと。何かを表現せずにはいられない「業」のようなものを、内に抱え込んでいたりするのかもしれない。稀代のエンターテイナーとして多方面から引っ張りだこな理由が、ここに垣間見える。

2023.01.06(金)
文=山内宏泰