アルト・アディジェのワインと料理のペアリング

 「カンティーナ ヴァッレ イサルコ、シルヴァーナ・アリストス2018」と、「国産ズワイ蟹と根セロリのレムラード」の組み合わせ。

 糖蜜やりんごの香り、みずみずしい酸のあとに、きれいな余韻を感じるワインなので、根セロリや青りんごのソースがベストマッチ。

 「フランケンシュタイン、リースリング2019」と、「鱈のブランダードと帆立貝のタルタル」の組み合わせ。

 黄桃やフレッシュな柑橘を思わせる香り、ほどよい酸、余韻にほのかな甘みを感じるリースリングらしい1本。うまみとコクのある魚料理がよく合います。

 「トラミン、ゲヴュルツトラミネール2021」と、「シュリンプと烏賊のリゾット アッロ ザッフェラーノ」の組み合わせ。

 華やかな花のような甘い香りで魅了する1本。料理に合いにくいのではと思わせつつも、すっきりドライに仕上がっているので、サフランで仕上げたリゾットの味わいを引き立ててくれます。

 以下は、同じ料理でもソースを変えて白と赤をマリアージュさせる趣向。

 「ナルス マルグライド、ピノ・ビアンコ シルミアン2019」と、「サーモンソテー 白ワインソースオゼイユ」の組み合わせ。

 アルト・アディジェの人が大好きな品種を醸した1本。ミネラル感を感じる奥行きのある味わいで、クリームを使ったオゼイユソースと相性抜群。

 「フィッチェル、ピノ・ネロ リゼルヴァ マタン2017」と、「サーモンソテー 自家製ポン酢のソース」の組み合わせ。

 エレガントなブルゴーニュワインをほうふつとさせる、やわらかな味わいのワインで、しょうゆベースのソースに寄り添ってくれます。

 「コーネル、ソーヴィニヨン・ブラン ”オベアベルク”2019」(写真左)と、「香川産オリーブ豚ロース肉のプランチャ オレンジソース」の組み合わせ。

 アロマティックで骨太な白ワインながら、しっかりとした酸を感じる1本なので、柑橘のソースとマリアージュさせることで、互いを引き立て合う印象です。

 「ムリ・グリ、ラグレイン・リゼルヴァ”アブタイ・ムリ”2011」(写真右)と、「香川産オリーブ豚ロース肉のプランチャ 粒胡椒&バルサミコソース」の組み合わせ。

 土着品種であるラグレインを修道院の中にある畑で栽培。土着らしく、まったり感のあるしっかりした濃さ。粒胡椒のスパイス感や丸みのあるバルサミコソースとニュアンスが合っています。

 多種多様でありながらも、どれも料理とマッチングさせることで、よりおいしく感じるワインばかり。アルト・アディジェのワインを知ることで、自宅の食卓やレストランシーンでの楽しみが増えることでしょう。

 アルト・アディジェがどうしても覚えられない! という方は、ぜひ南チロルを意味する、Südtirolのマークを目に焼き付けて。アルト・アディジェのワインのキャップシールには、このマークが付いているそう。おいしいワインに出合うための目印に、きっとなってくれはずです。

2022.10.31(月)
文=加藤郷子