鏡はバストアップ以上を映せるサイズがマスト!

 教えてくれたのは、ヘア&メイクアップアーティストの藤岡ちせさん。

 藤岡さんは、人気タレントやミュージシャンなどを多数担当してきた他、女性アナウンサー講座でメイクを教える講師活動を行うなど幅広い分野で活躍しているこの道30年のベテラン。最近は、生まれ故郷の高知でメイクレッスンも開催しています。
 
「メイクする時の鏡選びで特に意識してほしいのは、自立するタイプを選ぶことです。手を使わないと見られないものではなく、机やテーブルに置いて両手を使える状態にできる鏡を選びましょう。次に大事なのが、大きさです。メイクはバランスが重要ですが、バランスというのは顔の中のバランスだけではありません。髪はもちろん、肩幅とのバランス、デコルテの肌色とのバランスなども見ながら行うのが大事です。だからメイクをする時は、最低でも胸元から頭部まで映せる大きさの鏡を使いましょう。これに加えて、近くを見る用に小さい鏡も用意して2つを使うといいですよ」(藤岡さん、以下・同)

 私の場合、大きい鏡は持ってないのですが、移動できる姿見があるので、それでもいいのか聞いてみたところ、「全身が見られる鏡は、ベターです。ただし、仕上がりを確認するためだけに使うのではなく、メイク中も見られる位置に置いてメインとして使ってください」

 つまり、小さい鏡だけだと、デメリットがあるということでしょうか。

「そうです。手鏡だけでメイクをすると、近過ぎて色むらやグラデーションを確認しづらいですし、顔を左右対称に見えるようにメイクしにくいです。メイクは、言ってみれば、壁画やテレビ画面と同じ。イメージとしてはゴッホの絵の点々みたいな感じで、近過ぎると情報が多過ぎて、全体を把握できないんです。眉毛の色むらや繊細なグラデーションを作りにくくなりますね。また、近くからだけで見ていると、顔の左右バランスの悪さを確認しづらいので、バランスよく仕上げることも難しくなりますね」

「それに、メイクでは光の乱反射や目の錯覚を利用するので、光の量が多い大きな鏡の方が全体を把握しやすいし、元の顔の左右差を確認しやすいんです」

 明るさと言えば、ライトはあったほうがいいのでしょうか? 

「ライトはあってもいいですが、影ができない位置につけるのが大事です。クリップライトなどを片側だけにつける方がいるようですが、影ができるとバランスのいいメイクができなくなるので、影ができるくらいならつけないで行いましょう」

 因みにメイクをする環境に関しては、メイクを見せる場所に似たライティングの下で行うのがベストとか。

「日中の屋外に行くためのメイクなら自然光で行い、夜のバーに出かける前ならば電球色のライトの下で行う、などを意識するといいですよ。また、服の色も反射するので、服を着た状態でメイクするのも大事です」

 なるほど! 鏡は適当に選びがちですが、少し意識するだけで、メイクの完成度を上げてくれる要素が満載だとわかりました。

 特に「肩幅がメイクのバランスに影響している」ということや、「デコルテの肌色とのバランスを見ていく」などは、シンプルな教えなので、意識すれば即、メイクが向上しそうな気がします。

 また、鏡を2つ見られるようにしておけば、他人から見られる斜めの顔や横顔や、後ろ姿(髪型)も、しっかり確認できるので、より戦力になるような。

 藤岡さん、ありがとうございました。とても参考になりました!

●教えていただいたのは……
藤岡ちせさん

1993年から、ヘアー&メイクアップアーティストとして活動開始。Paja*Patiに所属。
http://chisefujioka.com/

にらさわあきこ

文筆家、美容研究家。NHKディレクターを経て、文筆業に。恋愛や結婚、美容について取材・執筆を続ける中、2019年から美容活動を強化。簡単&ラクに綺麗になるための情報をブログやインスタ、雑誌ウェブなどで発信中。著書に『未婚当然時代』(ポプラ新書)。『婚活難民』(光文社)『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)など。
インスタ:@akiko_nirasawa_beauty、ブログ:『美活☆365日 簡単&ラク~に綺麗になろう!』

Column

にらさわあきこの日々是実践美容道

 新人美容研究家のにらさわあきこが取り組む美容道。アラフォー超えて、本格的に真剣に取り組むことになった「美容体験」や「美容習慣」の考察記。

2022.10.23(日)
文・写真=にらさわあきこ