「それ演歌じゃねえよ!」とツッコまれても書きたい番外編
●「星降る街角」(敏いとうとハッピー&ブルー)
これムード歌謡やん! とツッコミが入りそうだが書いてしまおう、ウォンチュッ! 飲み会などで、間奏で入れる「よるよるよる長い夜!」という合いの手はあまりにも有名だ。ちなみに私はBluetoothのイヤホンの操作を失敗し、この曲のイントロが新幹線でダダ漏れした経験がある。
●「千本桜」(小林幸子)
ボカロから大ヒットしたこの曲を、小林幸子ラスボスが見事演歌フレイバーに落とし込んだバージョンは必聴。大げさでなく鳥肌が立つカッコ良さだ。若者文化をスポンジのように吸収し、世界を広げていく彼女は最高にエモい!
●「マツケンサンバ II」(松平健)
演歌じゃなくサンバ。それは重々承知しているが、日本、いや世界のフェスティバルに通用するこの曲を外すわけにはいかない。腰元ダンサーズを従え、キラキラの着物でステージの端から端までステップを踏む松平健はマジで殿。歌声がブレない体力気力も素晴らしい。だからこそライザップに挑戦しておられたエピソードは「陰の努力……!」と目頭が熱くなった。
荒い鼻息のまま紹介してきたが、いかがでしたでしょうか、フェス演歌。最後の最後、お嬢(美空ひばり)の「お祭りマンボ」が、私を諫めるように、かすかにほら、聴こえてくる……! 少々浮かれ過ぎたと、いくら泣いてもあとの祭りよ。一筋縄では行かないラインナップになってしまったが、秋の夜は長い。祭りも失恋も望郷もサンバもあってちょうどいいくらいだ。
今年、特に祭りに参加する予定はないという人も、ぜひこれらの歌を聴きながら、魂の祭りを開催してほしい。場所は選ばない、あなたのいる場所がステージだから。
生まれてくれてありがとう、これまで実ってくれてありがとう!
イヨーッ、わっしょいわっしょい!!
Column
田中稲の勝手に再ブーム
80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。
2022.10.06(木)
文=田中 稲