予約の取れない漢方家、櫻井大典が伝授する、不調を改善して病気にならないための、食事と睡眠の新常識をまとめた一冊『病気にならない食う寝る養生』(学研プラス)より、最強の健康法の一部を抜粋して紹介します。


山盛りの生野菜サラダより小鉢のおひたしが断然おすすめ

 食物繊維やビタミンの不足を補うために、生野菜を意識して食べているという方は多いと思います。

 ですが、野菜をたくさん摂るのが目的なら、私は生野菜サラダより、断然おひたしをおすすめします。

 理由はいくつかありますが、私が生野菜サラダをおすすめしない一番の理由は、生野菜は“胃腸を冷やしてしまう”からです。

 特に“健康のために”と思って生野菜を摂る場合、毎朝、毎食とかなりの頻度で食べる方が多いので、胃腸が冷え続けてしまう可能性が高いのです。

 体のほぼ中心部にある胃腸は、体内でも特に温かい場所なので、冷やされることを嫌います。冷えると消化不良を起こしやすくなるのです。

 その点、おひたしは加熱されているので、胃腸を極端に冷やしません。

 「でも、加熱すると栄養が壊れるんじゃないの?」と心配になる方もいるでしょう。確かに加熱によって壊れる栄養素もあります。

 ですが、壊れてもゼロにはなりませんし、加熱したほうが、かさが減って量をたくさん食ぺられるので、栄養の量の問題はカバーできます。

 また、生野菜の栄養素は、かなりよく噛んだとしても十分に吸収できません。生の野菜の細胞壁は、けっこう固いので壊れにくいのです。

 でも、加熱すれば細胞壁がやわらかくなって栄養素を吸収しやすくなり、消化もスムーズになります。

 おひたしにすることで“量をたくさん食ぺられる”“消化がしやすいので栄養も吸収しやすい”といったメリットがあるのです。

 「調理が面倒……」と思った方、ゆるく考えましょう。さっと茄でるだけ、レンジでチンするだけ、でOK。それにかつお節と、醤油か塩をちょっとかければ完成。厳密にはおひたしではありませんが、だしで煮たり、浸したりしなくても、おいしくいただけます。

 これなら生野菜を切って盛りつけてドレッシングをかけるのと、ほぼ変わらないですよね。

2022.08.28(日)
文=櫻井大典