ここの1階は食堂なのに段ボールが沢山置かれていて利用できないのですが、その横に2階に上がる急階段があります。この急階段を上がった先にインドな感じの店舗が広がっています。最初は「階段を上がっていいのか?」と不安になったのですが、階段を上がった先に別世界が広がっていたのは、なんというかドラクエで隠し階段を見つけて上り下りしたときのようでした。もしも何か買おうという使命感があるならば、家で飲める紅茶か、マンゴージュースなど小さなボトルジュースでも買ってお金を落としましょう。

 

ルミエール商店街を歩く

 新小岩の代名詞といえば、駅から見える南口のアーケード街「ルミエール商店街」でしょう。サウナがあり総菜屋が点々とあり、雰囲気はどこか関西の商店街のようです。そのルミエール商店街やその周辺を歩くと、韓国、中国、台湾、ベトナム、タイなどアジアンな店がこれでもかと出てきます。選択肢が多いので、誰かと街歩きするにも誘いやすくて素晴らしい。

 ルミエール商店街を歩いていくと、ガチ中華の食材店「友誼商店」があります。階段を登ってはいると、そこは中国の商店です。パッケージで売られている商品もありますが、たまに自家製食品も売っています。

 中国商店は、ルミエール商店街の出口ほか、ドン・キホーテ系列のピカソのあたりにも中国系店舗や韓国系店舗が集まっているところがあります。以前その中国の個人商店に入ったら奥のほうの部屋で中国人が麻雀を打っていまして、視覚と味覚と聴覚でいよいよここは中国と何が違うのかと唸ったものです。そうそう、池袋のガチ中華の店は中国のモールや繁華街内の飲食店の雰囲気ですが、新小岩の店は中国の住宅地に点々とある食堂の風格があります。こちらもガチなのです。

新小岩で領土問題を感じることができるお店

 さらには、ミシュランのビブグルマンに選ばれたタイ料理点「バンコクオーキッド」があります。お手軽価格で美味しくかなりのボリュームであることから、食べるだけなら文句なくお勧めです。しかしタイ人客はあまり見ないので、客の雰囲気までガチタイとはいかないのは海外旅行気分としては惜しいところ。むしろ隣の小岩駅ならば、タイ旅行感まで味わえます。その先にはガチ中華の雰囲気を醸し出し中国人客も多い「舒氏老媽蹄花(ジョシロウマテイカ)」、セルフで具材を選ぶ中国一人鍋「麻辣湯(マーラータン)」屋が2店あります。麻辣湯は先に鍋の具を自分でピックアップし、スープをオーダーするのですが、独特なシステムで言葉もカタコトの日本語でやりとりするので中国旅行気分になれます。地元の外国人も利用するようで、ベトナム人が中国人店員に日本語でやり方を聞く場面に遭遇しました。この日本語が共通語になっている空間は、いつ聞いてもなんとも不思議です。

2022.08.19(金)
文=山谷 剛史