反対の南口は、とにかく異国飯が充実しています。駅を出てマクドナルドのあたりに出ると、昼から夜にかけて「串串香」という看板がでています。看板のある細い路地に行くと、回転寿司ならぬ回転火鍋屋があります。中国でもある形式の店で、客も常に中国人ばかりで中国語が飛び交うので、がっつり中国にいる気分になります。火鍋は火鍋でも日本では数少ないタイプなので体験的に面白く、SNS映えします。なによりひとりでも火鍋が食べられるというのがたまりません。

「ここはネパールか!」脳が混乱する異国飯屋の空間

 串串香の方角をさらに進んでいくと、スバル飲食街の中にネパール料理の「マリカ」という店があります。「スバル飲食街」で検索してみてください。飲食街とはいいますが、未舗装の小径は上級者向けの雰囲気を醸し出しています。この中に「マリカ」がぽつんとあるのです。

 中に入るまでにもハードルが高いのに、中に入ると雰囲気が実にいい。扉を開けると視界には場末感と木のぬくもりのある店内、嗅覚でがっつりくるスパイスのにおい、ぎっちりネパール食材が詰まった商品スペース、耳を澄ませばテレビから流れるボリウッド映画、もさもさと食べているネパール人……。「ここはネパールか!」と脳が混乱することうけあいの空間で異国飯屋としては100点満点です。

 しかも世のネパール料理屋と違って「ナン、カレーセット」など出しません。ポン菓子を主食に揚げたチキンやマトンで食べる「チキンタス/マトンタスセット」を是非食べてみてください。「こんな未経験の食があるのか!」と最初は驚きましたよ。ちょっとふらっと店内の雰囲気を味わいたければ、「とりあえずチャイ」とオーダーしてもいいですし、お酒が飲みたければネパールのお酒「ククリラム」を頼んでみてください。いい感じに割って本場の酒を提供してくれます。

階段を上がった先に広がっていたのは

 マリカと並んでなかなか入りにくくて異世界体験できるのが、「ジャンナット」というバングラデシュとインドの店です。新小岩駅を背に右側を見ると西友がありますが、その方向に進んだ先にあるのが「ジャンナット」です。

2022.08.19(金)
文=山谷 剛史