石田さんとの対話を重ねて救われたって思いました

八木 その頃は悩んでいる時期だったので、つらかった時に来てもらって、石田さんに「大丈夫」って言ってもらえて、気持ちが落ち着きました。

石田 普段は全然悩みごととか言わないもんね。

 写真集にまとめる中で、私たちがどんな風に作ろうかと考えているかを直接伝えたかったし、それに対する八木ちゃんの反応をやっぱり知っておきたいなって思って会いに行ってたから。でも別に八木ちゃんの悩みを聞きに行こうとか、なんでも話してもらおうとかは思っていなかったです。ただゆっくり話せたらなと。

八木 悩んでいる気持ちを打ち明けたりすることで、相手が困ってしまったらイヤだなと思って話さないタイプなんです。でも、写真集を一緒に作る上で自分が今どういう心境か共有したほうがいいなと思ったら、話せました。

石田 話しちゃった、って感じか。

八木 うん。でも、話したことで胸のつっかえが取れて気持ちが楽になりました。ひとりで考えていると自分にベクトルが向いて、ずーっと自分を責めちゃって。人に話すって大事なんだなって、石田さんに話して救われたなって思いました。

石田 雪も綺麗だったし、良い写真も撮れたし。そういう言葉を改めて聞けて、本当に北海道に行ってよかったです。

――3年半をかけて紡いできた『Pitter-Patter』。お二人にとってどんなものになりましたか?

石田 私はもう作っている時から、八木ちゃんに贈るものにしたいって考えてました。

八木 私にとっては自分を受け入れさせてくれるもの、かな。

 素の自分に自信があるわけではないから、これまでは「モデル・八木莉可子」だったり「俳優・八木莉可子」として世に出て行っていたけど、この写真集はこんな普段の八木莉可子が世に出ていいのかってぐらい素の私が詰まっているので。

石田 なんか申し訳なくなってくるよ(笑)。

八木 でもね、それで救われたんです。素の自分でいいんだって言ってくれているみたいで。写真集を見た地元の友人もみんな「普段の莉可子そのもの」って言ってくれる。そういう写真がこうして世に出てくれることで、そのままの私でいいよって受け止められた気がするし、自分でも八木莉可子を認められた気がするんです。

写真集『Pitter-Patter』のカットを見る

八木莉可子(やぎ・りかこ)

2001年滋賀県生まれ。2015年11月に開催された「#THENEXT エイジアクロスモデルオーディション2015」でグランプリを受賞しデビュー。2016年、大塚製薬「ポカリスエット」イメージガールに抜擢。同年より、雑誌Seventeen』(集英社)の専属モデルとして活躍する。2022年公開予定のNetflixオリジナルシリーズ『First Love 初恋』では、満島ひかり演じる野口也英の若年期役を務める。

石田真澄(いしだ・ますみ)

1998年埼玉県生まれ。独学で写真を覚え、大塚製薬の「カロリーメイト」の広告ヴィジュアルを担当し注目を集める。2017年には、表参道ロケットにて初の個展『GINGERALE』を開催。さらにその翌年に初作品集となる『light years -光年-』を刊行。今年4月には撮影を担当した女優・夏帆の写真集『おとととい』が発売された。

『Pitter-Patter』

写真:石田真澄 青幻舎 4,400円

■写真集特設サイト
https://www.special.seigensha.com/pitter-patter

■写真集公式インスタグラム
https://www.instagram.com/pitapata_rikako_official

八木莉可子写真集「Pitter-Patter」写真展

場所:Great Books
所在地:東京都世田谷区北沢3-19-20 reload内
期間:7月1日(金)~7月16日(土)
時間:12:00~19:00
休館日:月曜日

2022.06.30(木)
文=CREA編集部
写真=山元茂樹