「ポカリスエット」のCMで一躍注目を集め、近年ではモデル・俳優としての活躍がめざましい八木莉可子。
2022年5月27日に発売されたファースト写真集『Pitter-Patter(ピターパター)』には、八木の17歳から20歳を迎え、今に至るまでの約3年半が綴られている。
プリズムのようにさまざまな表情を見せ、きらめく八木の写真を見ていると、八木と石田とともに、3年半を伴走しているかのようにも感じられる。
撮影を手掛けたのは広告や雑誌で活躍する写真家の石田真澄。写真集の発売を記念して、二人に話を聞いた。
1日でこんなに仲良くなったのは初めてかも(笑)
――17歳から20歳、そして今。デビューして、いろいろな仕事を経験しながら、高校卒業や上京といった、さまざまな経験を重ねる八木さんの姿を写し取った素敵な写真集でした。石田さんが八木さんを撮るようになったきっかけはなんだったんですか?
八木 石田さんと初めて会ったのは雑誌の『GINZA』の撮影でした。私の地元の滋賀に来て撮影してくださるってことになったんです。マネージャーさんもヘアメイクさんもスタイリストさんもいない撮影で、凄く緊張もしていたけど、楽しみにしていた撮影でした。
石田 私は純粋に楽しみだったよ。不安とかも全然なくて。八木ちゃんに滋賀の良いところを案内してもらったよね。当日は何にも決めないで行ったけど、おすすめの場所とか普段遊んでいるとことか教えてもらって。とにかく楽しい1日だった。
八木 私も。こんなに1日で仲良くなれることなんてあるの? ってぐらい(笑)。
普通は仕事だと、終わるとサッと解散ってなっちゃうことが多いけど、最後みんなで集合写真撮ろう! ってなりましたもんね。
石田 ショッピングモールの屋上ね、覚えてる(笑)。車のトランク開けて、携帯を立てられるようにして。
つい話し込んじゃったから、新幹線の最終が間際になっちゃって、慌ててスーパーで安いお弁当とビールを買って乗り込んだんです。行く前は美味しいもの食べて帰りましょうと編集の方と話していたのに、それ以上に幸せな時間だったから、なんかもう脳がちゃんと働いてなくて(笑)。コンサートとか良い映画見た後みたいな多幸感。
――そこから定期的に撮影をするような関係が始まった。
石田 その後、私の個展にも来てくれていたけど、八木ちゃんは週末東京に来て仕事して、平日は学校行って、って状態だったからすごく忙しそうだったんですよね。ゆっくり会いたいけど週末会おうっていうのは難しいかなと思ったんです。そしたら滋賀行っちゃおうかなって。そうして会っている間に写真を撮っていました。
八木 私はずっと不思議だったんです。会おうって言ってくれるけど、それは撮影なのか仕事なのか何なのかって思っていました(笑)。だってわざわざ滋賀まで来てくださるんですよ。観光スポットとかレジャー施設に行くわけでもないし、来ていただいたのに何もおもてなしできず、とにかく申し訳ないという。
石田 もちろん撮らないつもりはなかったけど、八木ちゃんは凄く真摯に物事を考える人なのかなと思ったの。撮影しにいくって伝えると、仕事と同じ向き合い方で接してくれると想像したから、今回はあえて伝えていなかった。もっと久しぶりに友人と会うくらいの気持ちで話せたらいいなと思って、会いに行っていました。
八木 石田さんの撮り方って独特なんです。
だいたいのカメラマンさんとは「お願いします」って挨拶がスイッチになって、仕事モードで撮影が始まるんだけど、石田さんとはナチュラルな状態でスタートするというか。それっぽくポーズとかしてアピールしていても華麗にすかされて、撮られようとしていると撮ってくれなくて(笑)。ふとした瞬間に撮ってくださっています。
石田 それどこで思ったの? そんなことしてたんだって思ったよ(笑)。でも私はそういうところはあるかも。
2022.06.30(木)
文=CREA編集部
写真=山元茂樹