濃厚な栗の風味を残しつつ、あの独特のもっさり感を解消!

リエジョアを味わうことができるのは、ジョエルデュラン2階のカフェ。今回紹介したマロン以外にも、オレンジやスミレを用いたリエジョアなど、実に幅広いラインナップを揃えている

 アルデッシュ地方は、マロングラッセ発祥の地。ローヌ川右岸に位置し、フランスでももっとも美しい地域のひとつに挙げられることが多い風光明媚な場所である。谷あいにはきれいな小川がいくつも流れる環境は、甘くて香りのよい栗が育つには最適とされる。

 樹齢の高い栗の木の葉は秋になると紅葉し、山々は紅く染まっていく。色づいた木々を夕日が照らすさまは、真の絶景である。胸の奥を熱くするそのランドスケープを、この新作リエジョアは見事に表現している。

 ヌガティーヌで太陽を表し、自らのブランドの代名詞たるアルファベットボンボンショコラを山に見立てたゼリーで包み込んでしまう独創的な発想は、ジョエルデュランならでは。脱帽だ。

 もちろん、見た目のみならず、肝心の味わいにもさまざまな工夫が凝らされている。栗の甘味と香りを最大限引き出しながらもなめらかな口どけを感じさせることができるよう、3種のマロンクリームは、ペーストとピューレ、さらにクリームを配合。結果、栗の風味は濃厚なのにもっさり感はない。奇跡のバランスである。

CREA due Traveller ベスト・オブ・フランス 美食の祭典」 定価 980円
フランスのグルメに関する特集をダイジェストしたこのスペシャルムックには、サン・レミ・ド・プロヴァンスにあるジョエルデュラン本店を取材した記事が掲載されている

 一番下の層には、日本の食材である黒蜜が敷かれている。そのほろ苦さが栗のまろやかな甘さを引き締め、マロンパフェ特有の、口に残るくどさをまったく感じさせない。デュラン氏は、6月の来日の際に黒蜜をフランスへと持ち帰り、研究を重ねたのだという。

 他にも、季節のフルーツである洋梨とアプリコットのコンポートが食感とみずみずしさをプラスし、モン・サン・ミッシェルの老舗レストランのビスケットがコクとアクセントを与えてくれる。

 仕上げに加わるのが、アルコールを蒸発させたアルデッシュ地方のマロンリキュール。口いっぱいに、マロンの芳醇でふくよかな香りが広がっていく。

 南仏の美景に思いを馳せながら、妙なる傑作スイーツに舌鼓を打ちたい。

ジョエルデュラン銀座本店
住所 東京都中央区銀座5-5-8 西五番街坂口ビル1・2階 銀座ショコラストリート
電話番号 03-6264-1523 (ジョエルデュラン日本総合窓口)
URL joeldurand.jp
営業時間 11:00~21:00 (20:00ラストオーダー)
定休日 年末年始

2013.09.20(金)