北京オリンピックの活躍だけでなく、とびきりの笑顔とピンチのときに垣間見えた人間力の高さで日本国民を虜にした、カーリング女子日本代表チーム「ロコ・ソラーレ」。
北京では、崖っぷちの戦いを何度も制して銀メダルを掴んだが、昨年9月、チームを北京オリンピックへ導いた「日本代表決定戦」の激闘でも、一致団結した粘り強さを発揮し、勝利を手にしていた。
ロコ・ソラーレの食を支える人々
ロコ・ソラーレといえば、注目されることが多い試合中の栄養補給である「もぐもぐタイム」。そんな「食べること」と「チームの活躍」が深く関係している彼女たちの「食」を支える人々がいる。
そのひとつが、日本最北端の町・稚内で地元の海産物を扱う卸業で創業し、まもなく100年を迎えるご当地スーパー「相沢食料百貨店」。稚内駅の目の前という立地で、観光客からは「稚内や道内の味が揃う」と人気がある一方、「地元はもちろん、全国のよいものも揃う店」と評価する地元ファンを多くもつスーパーだ。
北京オリンピックでロコ・ソラーレの銀メダルが決まった瞬間を自宅のテレビで観戦していたという、創業家一族で店長の福間加奈さん。普段から夫の敏彦さんとともに、地域を元気にしたいと奮闘している。メダル獲得後、チームの健闘を讃えたいと、3日間の「銀メダルおめでとうセール」を実施し、地元の客と一緒にロコの活躍を喜んだ。
熱い応援の理由は、同じ北海道の北見を拠点として活躍するチームだということもあるが、じつは、ロコ・ソラーレがオリンピック出場を決めるまでの道のりで、とくに大事な局面で滞在した地が稚内だったことが大きい。その稚内でのロコ・ソラーレの「食と健康」をアシストしたのが相沢食料百貨店なのだ。
稚内は、日本カーリング協会の貝森会長の地元という縁もあって、2020年の10月、市内にできた新カーリング場が、ロコ・ソラーレの合宿地となった。チームにとっては本来なら海外遠征で力をつける期間もコロナ禍だったため、国内合宿を余儀なくされる状況。観光客は減少、魚介類の消費も落ち込む稚内にとっては、久しぶりの明るい出来事となった。
2022.03.20(日)
文=菅原佳己