監督目線からのんは信頼のおける役者です(笑)

 一方、出演者のお芝居にも細かく演出をつけたのかと思いきや、「そこは放し飼いでした」と笑う。

 「私自身が俳優なので、どうしても演者びいきなところがあるんです。皆さんのお芝居を信じていたのでほとんど指示を出すことはありませんでした」

 その信頼の眼差しは、俳優である自分に対しても等しく注がれている。「監督から見た俳優ののんさんはどう映る?」という、少々返答しづらいであろう質問を投げてみると、はにかみながら、でもやっぱり堂々と、こう答えた。

 「自分はお芝居で魅せられるという過剰な自信があるんです。怒ったり泣いたりする暗いシーンのときも、希望に繋げる明るい魅力があるというか……。ちゃんと役が直面している壁や痛みを感じながらお芝居を構築していくので、監督目線から見たのんは、信頼がおける役者だなって思います(笑)!」

Their Seeds

ものをつくりたいという欲求にブレーキをかけたくない。
大変だけど、そのやり方が性分に合ってるし、好きな自分でいられる

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のん

1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。2022年6月30日からは舞台「私の恋人beyond」(本多劇場)に出演。

映画「Ribbon」

コロナ禍の2020年。いつか(のん)が通う美術大学では、卒業制作展が中止になってしまう。悲しむ間もなく作品を持ち帰ることになった彼女は、心配してくれる父や母とも衝突し……。未来を奪われた美大生の再生の物語。テアトル新宿ほか全国公開中。

あたらしい暮らし
楽しい暮らし

2022.03.07(月)
Text=Kozue Matsuyama
Photographs=Satoru Tada
Styling=Izumi Machino
Hair & make-up=Shie Kanno

CREA 2022年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

あたらしい暮らし 楽しい暮らし

CREA 2022年春号

あたらしい暮らし 楽しい暮らし

特別定価880円

「CREA」2022年春号の特集は、「あたらしい暮らし 楽しい暮らし」。激動する時代の中“楽しい暮らしの正解”はなくて、きっとそれは百人百様。でも人生100年時代となり、キャリアがマルチステージ化していくと言われる世界を、自分らしく楽しむためには、自分の中に「種」を持っていたい。今すぐじゃなくても、ちょっと先の未来に芽が出るような、小さくても、強い種を――。