原価981円のハンバーガーを990円で提供!

 神戸牛100%パティやチベット産黒トリュフ、東新宿のパン屋「峰屋」の天然酵母バンズ、高知県四万十市にある「いちえん農場」の土佐ジロー卵など、こだわり抜いた高級食材を使って作られたハンバーガーが990円で食べられる! これ、原価同然では? そう思った方、大正解! 

 「神戸牛”GENKAI”チーズバーガー」と名付けられた、このハンバーガーの原価は981円。それを990円で提供しているんです。でも、いったい、なぜ?

 実はこちら、製菓・カフェ・調理・飲食店の開業について学ぶ専門校「レコールバンタン」が、2022年3月27日(日)までの期間限定でオープンしているハンバーガー店「GENKAI BURGER」で提供しているもの。

 レコールバンタン東京校レーヴ校舎内に店を構え、教育の一環としてこのスクールの生徒たちがメンバーとなり店舗運営を行うため、新たな家賃や人件費がかかりません。だからこそ、ハンバーガーを原価で提供することができるんです。

代々木上原「sio」の鳥羽周作シェフが監修

 「今はコロナ禍もあり飲食業界に元気がなく、お店でのアルバイトもままならない状況です。実践経験の場が減っているため、その機会を学校で用意したいと思い、今回のプロジェクトがスタートしました」そう話すのは、レコールバンタン ブランドマネージャーの細井信宏さんです。

 プロジェクトの監修として、ミシュランガイド東京の星つきレストランとしても知られる代々木上原「sio」の鳥羽周作シェフを招き、開店に向けた全4回の講義を実施しました。

 1回目は”sioのイズム”でもある、おいしさのロジック「5味+1」を学習。これは甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5味に、辛味、食感、香りが加わることで、立体的に奥行きのある料理ができあがるという考え方。これをヒントに生徒20名が3チームに分かれて、それぞれレストランらしい高級ハンバーガーのメニューを開発しました。

 2回目は、チームごとにハンバーガーについてプレゼンテーションを行いながら、鳥羽シェフが試食し、それぞれ改善点をアドバイス。

 3回目は、改善されたハンバーガーを鳥羽シェフが試食。採点を行い、3つのハンバーガーの中から「GENKAI BURGER」で提供する、ひとつを決定。この時、鳥羽シェフは悩んだ末に3つのハンバーガーすべてに10点満点をつけてしまい、嬉しい悲鳴をあげる事態に。最終的には味の構成要素が「sio」の考え方に最も近いハンバーガーを店で提供することになりました。

 最終講義では、さらにブラッシュアップしたハンバーガーが客に提供できるものとして仕上がっているのか、鳥羽シェフが確認。最後のアドバイスを行った上で、生徒たちの想いが詰まった「神戸牛 ”GENKAI” チーズバーガー」が誕生! その後も何度も試作を繰り返し、「GENKAI BURGER」のオープンの日を迎えました。

2022.01.28(金)
文・撮影=石川博也