郷土料理こそがイタリア料理の真髄!

 イタリア各地方の郷土料理や、マンマが工夫して作った料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でもできる簡単なイタリア料理をご紹介します。


イタリアのマンマ考案「食べごろを過ぎたフルーツのおいしい食べかた」

 イタリアは南北に長い土地で四季に恵まれ、種類豊富なフルーツがザクザク採れます。

 ワインの大産地ゆえに、ブドウはもちろんのこと、オーストリアとの国境境にあるチロル地方はりんごの大産地、ボローニャがあるエミリア・ロマーニャ地方は洋梨の大産地、意外にも桃は世界でトップ3の出荷数と言われています。

 特に暖かいシチリア地方は日本でもお馴染みのシチリアレモンやオレンジ、ザクロ、そしてサボテンなどユニークなフルーツが常に沢山。

 人気のジェラート屋さんはフルーツのフレーバーが多いので、イタリアに行く機会があれば、是非フルーツのジェラートを楽しんでみるのもおすすめです。

 メルカートなどの市場はもちろんのこと、スーパーでもフルーツコーナーは充実しています。

 しかも安い!

 実は私、昔から果物は酸っぱくてあまり好んで食べず……。料理やソースに使うのは良いのですがケーキも二択であればチョコレートを選ぶし、たまに気が向いて買ってもギリギリまで食べずに置いてしまうことばかりでした。

 なのにイタリアに滞在中は自分でも驚くくらい果物を食べます。スーパーでは1kg単位で売っていますが、もちろん1個からでも買えるので一人暮らしの私にはちょうど良く、ついつい色んな種類を。

 心地よい朝の光の差し込むダイニングテーブルの大きなボールに、こぼれんばかりに入った果物を見るとまるで女優にでもなったかのような幸せな気分になるのです。

 果物が安いって素晴らしい。

 ちなみにイタリアのスーパーでは、野菜や果物を買いたいときは店に置いてあるポリ袋に自分で入れます。

 例えば桃を2個買う場合、その袋を図りに置いて「桃」の写真のボタンを押すと、値段のバーコードのシールが印刷されます。それを自分で袋に貼って、レジでお会計をします。

 頻繁に買っているとひたすらビニールが増えることになるので、1kg単位で買うか友達や誰かとシェアするのがおすすめです。

 ある時、調子に乗って買いすぎたフルーツが案の定余り、食べごろも超えて途方にくれていたところ、マンマが教えてくれたレシピがありました。

 パイ生地に切ったフルーツを乗せてオーブンで焼くだけ。「フルーツが余ると私もこうやって作るの」とのこと。

 熟すどころか食べごろも過ぎたフルーツを生かせる最高のレシピだったので、イタリアでもよく作りました。

 ということで、マンマ直伝超簡単フルーツパイです!

 旬のフルーツや余ったフルーツなど好きに乗せて自分好みに作ってみてください。

2021.10.30(土)
文・写真=齊藤奈津子
撮影=釜谷洋史