昨年から外出する機会が減り、旅やレジャーとめっきり縁遠くなってしまった今日この頃。それだけに家を最高の遊び場にしている人も増加中。

 どんな空間でどんな時間を過ごしているのか、趣味を楽しむ部屋の様子を見せてもらいに、2軒のお宅へ伺った。

 今回伺ったのは山梨県北杜市にあるSAさん・YAさんのお宅です。

» 趣味を楽しむ部屋づくり①


音楽、刺繍、読書。それぞれが好きな場所で好きな時間を楽しむ家

 Aさん夫妻の家は八ヶ岳南麓の森の中にある。リビングの大きな窓から南アルプスを望む絶好のロケーション。

 「一生のうちでこんなに空を見たのは初めてというくらい、毎日朝夕と空の表情を眺めています」と夫のSさん。山にかかる雲の形、空の色、その組み合わせは見飽きることがないという。

 どこを切り取っても夫婦2人の「好き」が詰め込まれた家だけれど、なかでもとっておきはダイニングの奥のリビング。音楽が好きなSさん念願の、音楽を楽しむための部屋だ。

「『LINN』のスピーカーとオーディオをすっきり置きたくて配線を床下に隠せるようにしてもらいました。天井も高めで、東京のマンション暮らしのときよりもずっとのびのびと音楽を聴けるようになりましたね」

 部屋にはアメリカのコンサートの古いポスターや音楽にまつわる書籍も多く、実際にライブに足を運べない日々でも、ここで音楽を聴き、観て、心ゆくまで楽しめる。

 いっぽう、妻のYさんの趣味は刺繍と読書。こちらもずっと変わらない趣味だと言う。

「刺繍などの手芸は無心になれるところがいいですね。ダイニングの窓ぎわに置いた座面の広い椅子を定位置にしています」

 Sさんが音楽を聴いている間、寝室で読書に耽ることも。仕切りのほとんどない家だけれど、それぞれが好きな場所で好きな時間を楽しんでいる。

 もうひとつ、Yさんが愛してやまないのがヨーロッパの木のおもちゃやフィギュアだ。スキップフロアの3層目の部屋は客間兼、YさんのフィギュアやSさんのレコードなど、互いのコレクションをぎゅっと集めた夢の空間。

 密集しながらもそれぞれの表情が分かるようにディスプレイされている様子に、好きで集めたものへの、おのおのの愛の深さが感じられる。

今回伺ったお宅は……
山梨県/北杜市 SAさん・YAさん宅


広さ 約113平米
間取り 2LDK+3WALK-IN CLOSETS
家族形態 夫婦

2021.09.20(月)
Text=Yoko Maenaka(BEAM)
Photographs=Hirotaka Hashimoto

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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