「展示の美学」を実践するフィールド

フランク・ステラの絵画とジャッドの家具が展示された部屋
(C) Judd Foundation

 ジャッドがグラマシー・パークに近いパーク・アベニュー・サウスからソーホーのスプリング・ストリートに移り住んだのは1968年。その後25年かけて、彼は5階建てのビルの内部を1フロアずつ改装し、ジャッド自身の作品とともに彼が所有する他の作家の作品を展示していった。修復を終えた「スプリング・ストリート101」の室内では、ジャッドの作品や彼がデザインした家具とともに、マルセル・デュシャン、ダン・フレヴィン、クレス・オルデンバーグ、フランク・ステラなどの作品を見ることができる。

 ジャッドは美術批評家でもあり、建築の知識も豊富だった。そのため作品とそれが置かれる空間の関係についても独自の考えを持っていた。彼にとって「スプリング・ストリート101」は制作と生活のスペースであると同時に、その「展示の美学」を実践するフィールドでもあった。19世紀に建てられた建物の雰囲気を残しつつ、そこにミニマルな現代アートを調和させる。ジャッドが目指したアートと建築の一体化は、今なお新鮮さを失っていない。

ジャッド・ファンデーション スプリング・ストリート101
(Judd Foundation 101 Spring Street)

6月から一般公開の予定。正式なオープン日はホームページで確認のこと。
URL www.juddfoundation.org/index.htm

フリーズ・ニューヨーク
開催期間 2013年5月10日~5月13日
URL friezenewyork.com

鈴木布美子 (すずき ふみこ)
ジャーナリスト。80年代後半から映画批評、インタビューを数多く手掛ける。近年は主に現代アートや建築の分野で活動している。

Column

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2013.04.25(木)