縮こまっていた体と心を伸ばし、ほっと温まる旅がしたくなる春。
鹿児島には、体の中からも外からも体温を上げてくれる魅力的なスポットや味わい、そして心温まる出会いが待っている。
免疫力を上げたい今こそ 鹿児島の旅で温まる

コロナ禍で、ちょっと重苦しく窮屈な毎日にも、少しずつ春の気配が感じられるこのごろ。張り詰めていた気持ちをゆるめ、体も心も温まるような旅がしたくなる。そんなときに訪れたいのが鹿児島だ。
じつは体温は免疫力とも深いつながりが。体温が1度下がると免疫力は30%低下し、1度上がると一時的には最大5〜6倍アップするといわれているのだ。「免疫力向上のためには、中からも外からも体温を上げていくことが大切です」と、婦人科医の松村圭子先生。温暖で温泉に恵まれ、健康に役立つ食材も豊富な鹿児島には、「体温を上げる旅」に最適な条件が揃っている。
まずは温泉。鹿児島は全国2番目の源泉数を誇っている。だから鹿児島は、町中に温泉を使用した銭湯が数多く存在したり、指宿市の砂むし温泉などバラエティ豊かな温浴施設がある、温泉大国なのだ。
また、鉄分たっぷりの鰹、疲労回復に役立つビタミンが豊富な黒豚や鰻など、鹿児島には血流を良くしたり、疲労回復をサポートしたりしてくれる食材が揃う。名産の黒酢や黒にんにく、黒糖などは、東洋医学で体を温めるとされる「黒い食べ物」。自分へのお土産にもぴったりだ。さらに、トレッキングや海辺のヨガなど、自然を満喫するアクティビティにも事欠かない。
そして、何よりの温もりは、とびきりの笑顔で旅行者を迎えてくれる、市場食堂のおばちゃんや銭湯オーナーのおじちゃんといった地元の人たち――。温暖な地で、お湯に浸かって、美味しいものを味わい、温かい人に出会う。体の内も外も温まる特別な旅が待っている。
2021.03.08(月)
Text=Yuko Harigae(Giraffe)
Photographs=Asako Hirose
CREA 2021年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。