——恥ずかしさでしょうか。それをやっている自分をもう一人の自分が見ているみたいな感覚……?
清水 そうなんですよ。それ、すごい悩みだったんですけど。「今、自分が笑わせようとしているということがバレたらどうするんだ」みたいな。それでいいんだよ、って(笑)。
——カラオケとかではしゃいでいる時、遠くの方でそれを見ている自分に気づいて、うわーってなります。
清水 わかるわかる。「普通に歌おう。モノマネやめよう」ってなる(笑)。
——そういう時に何も気にせずにちゃんとはしゃぎ、ちゃんと笑わせることができる人が、やっぱり芸人さんなんですよね。
清水 うんうん。本当に芸人だと思う。
——じゃあ清水さんご自身の肩書は、何が一番しっくりきますか?
清水 一応「タレント」って書いてますけどね。
——ああ……タレントって「才能」という意味もある。
清水 絶対やめてくださいよ。「タレント(才能)って書いてます」とか。
——(笑)。若い頃に思い描いていた「将来こうなりたいな」という像に自分は近づいていると思いますか。
清水 将来のことは考えてなかったなぁ。明日のことで頭いっぱいで。「将来こうなりたい」まで考えられなかった。もちろん60過ぎたらもうやめているんだろうなと思っていたし。
——それは「引退します」ということですか。
清水 今のところ引退は考えてないですけど。でも「引退します」って百恵ちゃんみたいに言うんじゃなくて、今は自然に消えていくものなので、たぶんそれを待つしかない。
女性芸人は、みんな自己評価が過小気味
——先日、『文藝春秋』での光浦さんのエッセイがものすごい反響を呼びまして。
清水 読みました。
——留学しようと思っていたらコロナで行けなくなって、結婚もしてないし、仕事もあんまりないし、若い第7世代がどんどん出てくる。これから私はどうしたらいいの、と。その感情を率直に綴って、すごく共感を呼んでいました。
清水 そうそう。ああいう知的で、芸人もできるという人って今までいなかったんですよね。自分の本当の心理を文章にできる人もいなかったし。あれで文章が注目されて、また連載が2社増えたとか言ってましたけど(笑)。それこそ、「これから」という感じがするんだけど、自分の中ではそこあんまりカウントしてないみたい。
これは光浦さんだけじゃないけど、女性芸人は、みんな自己評価が過少気味なんじゃないですかね。
2021.02.01(月)
文=西澤千央
写真=榎本麻美/文藝春秋