——ああ。

清水 ある人と一緒に洋服を買いに行ったんですけど、その人がずっと店員さんの気持ちを私に言うんですよ。「今、私のことを見て『すっごいデブが来た。帰れ帰れ』って言ってるでしょ」って。言ってねえよ、って思うんだけど。すごい低すぎて「ちょっと直したほうがいいよ」って言ったくらい。

——それもわかります。同様に美容室もすごく苦手です(笑)。

清水 謙虚はいいけど、卑屈すぎるというのは欠点で。野沢直子が来た時、みんな集まるって言ったじゃないですか。一見すごい楽しそうですけど、みんなあんまりお互いの顔を見ないの。おどおどしながら「まずは空気を読んで、邪魔をしないようにする」みたいな感じ。

——メチャクチャ面白い人たちが集まっているのに。

清水 逆に「面白い人たちが集まっているのに、自分がしゃべっていいものか」なんですよ。だんだん空気ができていくのを待っている。

 
 

——そういう人だから成功しているというのも現代っぽいです。

清水 ああ、そうかもね。あんまりグイグイじゃないから。私も無理してグイグイいって壊したことありましたからね。でも、何かやってスベるんだったらまだ見てるほうも楽しいんですけど、何もやらずにただ帰っていくというのが一番よくないとは思う。それは過去の自分にも言ってやりたいです。ブスであるとか独身だとか、女性芸人だとそういうのが武器になったりもするし。

口の悪いネタをやると、お客さんのほうがショボンと

——『夢で逢えたら』の時も、もしかして清水さんが独身だったら、そういういじりがあって、もっと溶け込みやすくなっていたかもしれない。

清水 そうだったかもしれないですね。

——ブスいじりも「自分たちの武器を奪わないでくれ」と思う方もいれば「もういい加減そういういじりも嫌なんだ」という人もいて。

清水 そうね。別に声を高く上げる必要もないんですけどね。それは時流に乗ったほうがよさそうです。やっぱり世間の流れが一番正義というか、しょうがないことなんです。最近、口の悪いネタやってると、お客さんのほうがショボンとすることがあるんですよ。「ひどい」みたいな。

——ああ、清水ミチコさんのお客さんでもあるのか……。

清水 そうそう。私たちの年代ってちょっとそういうところがあるもんで。若いお客さんにとっては「かわいそうじゃないかな。あの人のことをこんなモノマネの仕方して」と受け取られるかもしれない。

2021.02.01(月)
文=西澤千央
写真=榎本麻美/文藝春秋