都市型ワイナリーを満喫し、クラシックホテルで遅めのランチ

12:30

 西洋館巡りのあとは、海側にひっそりと佇む「横濱ワイナリー」へ。

 女性醸造家が手がける横浜初のクラフトワイン「ハマワイン」の醸造所「横濱ワイナリー」は、2017年にオープンしたばかり。開業当初はぶどう畑を持たずにワインを醸造する一般的な“都市型ワイナリー”のスタイルで、「地ビールがあるのだから、横浜に地ワインがあってもよいのでは?」という発想から生まれたそう。

 コンセプトは、大地にも身体にも負担をかけないよう、できる限り化学的なものを使わないワイン造り。原料であるぶどうはどれも国内産で、無濾過、ノン・パスチャライズの生ワインなので、ありのままのぶどうの味わいを楽しめるのが特長です。試飲をしてお気に入りの1本が見つかったら、ぜひお土産に。

 ハマワインのアルコール度数は10%前後。ワインとしては低めな仕上りで、最初のひと口から果実のフレッシュ感が味わえます。蛇口のついた樽とカモメのシルエットをあしらったエチケットにも横浜らしさが読み取れます。2020年から横浜でピノ・ノワールとシャルドネの栽培も始め、休眠耕作地を活用した地産地消にも挑戦中だそうです。

横濱ワイナリー

電話番号 045-228-9713
営業時間 月曜・金曜・祝前日14:00~20:00、土曜・日曜・祝日11:00〜18:00
定休日 火〜木曜 ※通常営業と異なります
https://yokohamawinery.com/

13:00

 そろそろおなかもすいてきた頃。せっかくの横浜ですから、老舗ホテルの洋食でランチにしましょう。目指すはハマっ子が誇るクラシックホテル、ホテルニューグランドの「コーヒーハウス ザ・カフェ」です。

 1927年、関東大震災の被害も著しい横浜の地に誕生したホテルニューグランド。ヨーロッパスタイルの正統派ホテルとしてのスタイルを築き上げていくなか、開業当初からキャッチフレーズとしていたのが「最新式設備とフレンチ・スタイルの料理」でした。その言葉どおり力を注いだレストランでは、国内外のVIPが舌鼓を打ち、「ホテルニューグランド発祥」とされる数々の料理が生まれました。

 たとえばシーフードドリア。ドリアは今や家庭でも楽しまれている料理ですが、これはホテルニューグランドの初代総料理長サリー・ワイルが、体調を崩したゲストのために即興で考え出した創作料理なのだそう。

 バターライスに合わせた海老のクリーム煮は、海老の旨味たっぷりの豊かなコクとなめらかな口あたりが魅力。くどさは少しも感じず、ぷりぷりとした海老の食感も楽しめるため、ついついスプーンが進みます。体調不良でも食べられるようにという料理長の心配りが伝わってきます。

 最近ではちょっとしたブームにもなっているスパゲッティナポリタンも、ホテルニューグランドが発祥と言われています。第二次大戦後、GHQ将校の宿舎として接収されたホテルニューグランドで2代目総料理長を務めていた入江茂忠は、米兵が茹でたスパゲッティに塩、胡椒、トマトケチャップを和えて食べていたのを参考に、具材やソースを改良し、現在のスパゲッティ ナポリタンを完成させました。

 飴色になるまでよく炒めたニンニクとたまねぎにトマトの粗切りやホールトマトなどを加えて仕上げたソースは、酸味の中にほんのりとした甘さがあり、ケチャップとはまた違う大人の味わい。もちもちとした太めのスパゲッティによく合い、思わず白ワインを頼みたくなってしまいそう。喫茶店のナポリタンが普段着の味だとすると、このナポリタンは“ちょっとおめかし”の味といえるでしょう。

 ホテルニューグランド発祥の味は料理だけではなく、スイーツにも。終戦後のホテルニューグランドには米軍将校とその夫人が宿泊していました。その将校夫人にも喜ばれるような、華やかで満足度のあるデザートを、と考え出されたのが、プリンにアイスクリームや缶詰のフルーツを合わせた「プリン・ア・ラ・モード」です。

 デザートにも満足度を求めるアメリカ人女性のために、パティシエが工夫をこらした組み合わせでしたが、当時これだけの量をのせられるデザート皿はなかったとか。そこで、前菜用に使っていたコルトンディッシュという特殊な器に美しく盛り付けたところ、そのスタイルから、“プリン・ア・ラ・モード”(洗練されたプリン)と呼ばれるようになったそうです。

 さて、2017年からは開業90周年を記念した限定30食の「90thプリン ア ラ モード」が登場。伝統のプリン ア ラ モードをより華やかにアレンジしたボリュームたっぷりのスペシャルプレートで、リンゴのコンポートや生チョコケーキ、さらにミニパンケーキまで加わり、二人でシェアしても十分なボリューム。欲張りな女子旅にはぴったりのスイーツです。

 いかがでしたか、ハイカラでモダンな横浜をめぐる今回の「5 hours Trip」。歩けば歩くだけ魅力が見つかる横浜。次はどんな「5 hours Trip」が待っているかな。ぜひお楽しみに!

ホテルニューグランド
コーヒーハウス ザ・カフェ

電話番号 045-681-1841
営業時間 10:00~21:30(L.O. 21:00)
定休日 無休
https://www.hotel-newgrand.co.jp/the-cafe/