歴史の息吹を感じる横浜山手西洋館めぐり
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石畳の元町ショッピングストリートを抜けて坂道をのぼったら、横浜山手西洋館の散策ルートへ。このあたりは江戸時代末期の開港後、外国人の居留地となったエリアで、今もその面影を残しています。明治から昭和初期に建てられた歴史的建造物やレトロな洋館も多く、横浜市が保存している7つの西洋館は入館無料で公開されています。
1 山手イタリア山庭園(外交官の家、ブラフ18番館)
2 元町公園(ベーリック・ホール、エリスマン邸、山手234番館)
3 港の見える丘公園(横浜市イギリス館、山手111番館)
![八角形の塔がシンボルの「外交官の家」[国指定重要文化財]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/-/img_04c3813a591eab1a4baad76c12ca1196235624.jpg)
山手イタリア山庭園内にある「外交官の家」は、1910年にアメリカ人建築家J.M.ガーディナーの設計により、明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅として東京渋谷に建てられたもの。1997年に山手イタリア山庭園に移築復原されました。室内には家具や調度類が再現され、当時の外交官の暮らしを垣間見ることができます。
外交官の家
電話番号 045-662-8819
開館時間 9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/gaikoukan/
![白壁に緑の窓枠とオレンジ色の屋根が美しい「ブラフ18番館」[横浜市認定歴史的建造物]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/a/-/img_6aa297af65770b41dd5b0c3f8b7bfe70180199.jpg)
山手イタリア山庭園にはもうひとつ、白壁が映える「ブラフ18番館」が。関東大震災後に山手45番地に建てられた外国人住宅で、1991年までカトリック山手教会の司祭館として使用され、93年に移築復元されました。
ブラフ18番館
電話番号 045-662-6318
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/bluff18/
![スパニッシュスタイルを基調とした「ベーリック・ホール」[横浜市認定歴史的建造物]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/-/img_861a9f6953009fc01beeea2206c390d5151949.jpg)

元町公園エリアの丘の上には、現存する戦前の山手外国人住宅では最大規模を誇る「ベーリック・ホール」があります。1930年にイギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として、J.H.モーガンの設計により建てられたもので、スペイン風の外観だけでなく、タイル張りの床やキュートな形の窓など、遊び心のあるインテリアも見どころです。
ベーリック・ホール
電話番号 045-663-5685
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/Berrick-Hall/
![建築家F.L.ライトの影響もみられる「エリスマン邸」[横浜市認定歴史的建造物]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/f/-/img_0f98ff3853d89d861006e9dad7d0b970225256.jpg)

その隣の「エリスマン邸」は、1926年に作られたスイス人貿易商の家。設計は“近代建築の父”と呼ばれたチェコ人の建築家A.レーモンドによるもので、派手な装飾はないものの、煙突、上げ下げ窓、鎧戸といった洋風住宅の意匠に当時のモダンな文化が偲ばれます。
エリスマン邸
電話番号 045-211-1101
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/ehrismann/
![緩やかに居間とダイニングを区切っているアーチをチェック!「山手234番館」[横浜市認定歴史的建造物]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/-/img_caa08b5b7d0b28b4523431f313e08e96111132.jpg)
山手町一帯が関東大震災で被害を受けたあと、朝香吉蔵の設計により1927年頃に外国人向けの共同住宅として、現在の敷地に建てられたのが「山手234番館」。実際に70年代まで使用されていたもので、当時の外国人の優雅な暮らしを垣間見ることができる貴重な建造物となっています。
山手234番館
電話番号 045-625-9393
開館時間 9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/yamate234/
![大英帝国時代の威厳を感じられる「横浜市イギリス館」[横浜市指定文化財]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/e/-/img_fe8e46fbe1bc044d14e00f329860e17f146371.jpg)
港の見える丘公園内にある「横浜市イギリス館」は、1937年に英国総領事の公邸として建築された鉄筋コンクリートの2階建てで、地下にはワインセラーもあるそう。2階の展示室や寝室が一般公開されており、広い窓からは庭や港の眺望が楽しめます。近接する湊の見える丘公園にある「イングリッシュローズガーデン」は、散歩コースとしても人気です。
横浜市イギリス館
電話番号 045-623-7812
開館時間 見学9:30~17:00
休館日 第4水曜(祝日の場合は翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/british-house/
![赤瓦と白い壁が美しい「山手111番館」[横浜市指定文化財]。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/-/img_15e90debc98a54a76717ac4e29935769237134.jpg)
同じく港の見える丘公園の南端に佇むのは、スパニッシュスタイルの洋館「山手111番館」です。J.H.モーガンの設計により現在地に建てられたもので、地階は鉄筋コンクリート、地上は木造といった珍しい造りになっています。
山手111番館
電話番号 045-623-2957
開館時間 9:30~17:00
休館日 第2水曜(祝日の場合は、翌日休館)、年末年始
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/yamate111/
「山手111番館」の地階には、喫茶室も併設されています。異国情緒たっぷりの洋館めぐりを楽しみながら、「カフェ・ザ・ローズ」でほっと一息。ローズガーデンを見下ろす開放感あふれる席でいただく手作りケーキとローズティーは、優雅な気分に浸れます。ティータイムのあとは、横浜初の都市型ワイナリーへ。


カフェ・ザ・ローズ
電話番号 045-622-3332
営業時間 10:00~17:00(L.O. 16:30)
定休日 第2水曜(祝日の場合は翌日休館)、何末年始
https://cafe.hillsidegarden.jp/cafetherose/
2021.01.03(日)
文=大嶋律子
写真=釜谷洋史