おしゃれでハイカラな横浜は、さまざまな魅力に富んだ街。ハマっ子に愛され続ける商店街やどこか懐かしさに誘われる路地……。昭和のレトロな雰囲気が漂うエンタメ施設をはじめ、アートの街として生まれ変わった黄金町・伊勢佐木町エリアは、歩くほどに味わい深くなります。

 やっぱり横浜って面白い! 密を避けつつも、少し出かける「5 hours Trip」。今回はそんな再発見がきっとある、ディープカルチャー空間へ5 hours Trip!


昭和レトロを味わうことができるミニシアターで映画鑑賞

13:30

 コロナ禍、巣ごもり需要の影響でオンライン配信が注目され、自宅で映画を観る習慣が広まっていますが、「やはり映画は映画館で!」という人も少なくないのでは?

 大きなスクリーンと迫力ある音響がもたらすワクワク・ドキドキの臨場感。非日常の空間に身を置き、どっぷりと作品の世界に浸れるのは、映画館ならではの魅力です。

 そんな映画館の楽しみを思い出させてくれるのが、「シネマ・ジャック&ベティ」。ひしめきあう商店や飲食店が下町風情を感じさせる黄金町・伊勢佐木町の街中に佇み、昭和レトロな雰囲気を醸し出している映画館です。

 「シネマ・ジャック&ベティ」は、1952年開業の「横浜名画座」をリニューアルして1991年にオープンしました。2005年に一度は閉館したものの、「横浜から名画座の灯を消してはいけない!」という多くの団体や映画ファンからの熱い声に応えて、同年中に再開、2007年から現在の運営体制に! かつてこのエリアは多くの映画館や名画座が並ぶ繁華街でしたが、現在残っているのは「シネマ・ジャック&ベティ」と「横浜シネマリン」の2館のみ。

 近年増加するシネコンに対し、2スクリーンながらも年間300本以上と上映作品が多く、単館系の最新作から旧作の特集上映や映画祭なども積極的に行うなど、多彩な作品を楽しめるのも嬉しいポイントです。

 「ジャック」と「ベティ」は、2つのスクリーンの名前。以前は、名画座「ジャック」ではチャンバラや西部劇など男性向け作品を、ミニシアター系「ベティ」ではロマンスやラブストーリーなど女性向けの作品を上映していたそう。現在ではそれほど区別なく、幅広い作品を両劇場で上映しています。

 また、トークショーやライブといったイベントや月に1回のサロンなども開催され、映画好きのコミュニティの場としても親しまれています。最新の注目作や隠れた名作と出合えるかも? 映画鑑賞から始めるヨコハマ歩きも、エンタメ感たっぷりで気分がアガりそうです。

シネマ・ジャック&ベティ

所在地 横浜市中区若葉町3-51
電話番号 045-243-9800
定休日 無休 ※元旦のみ休館
https://www.jackandbetty.net/

15:30

 映画のあとは、カフェにでも寄って作品の余韻に浸りたいもの。「シネマ・ジャック&ベティ」の周辺には気になるカフェが揃っていますが、今回は、懐かしさを誘うイセザキ・モールにある老舗洋菓子店でコーヒーブレイク。

 古き良きヨコハマの面影が今も残るイセザキ・モールは、ぶらぶら歩くだけでも心躍ります。創業1913年、当初は和菓子屋さんだったという「浜志゛まん」。1957年、外国航路の客船で腕をふるったパティシェを招いて洋菓子店に転身。その後も独自の製法と技術で伝統の味を守り続けています。

 名物はボストンクリームパイ。その名の通り、アメリカのボストンで誕生したケーキです。レモンパイとともに60年以上のロングセラー商品として世代を超えて愛されています。

 ふわふわ生地のスポンジで、上質な生クリームと天然バニラを使用したカスタードクリームを挟んだ、ごくシンプルなケーキ。ひと口頬張ると、生クリームがとても軽く、口当たりなめらか。シュガーコーティングのパリパリ感やビターチョコでコーティングされたアーモンドもいいアクセントになっています。何世代ものハマっ子たちに愛されている、納得の味わいです。

 見た目華やかで芸術的なボストンクリームパイは、お土産にもインパクト大! 店内でいただく場合は、ひとり用に作られたミニボストンがおすすめです。

浜志゛まん

所在地 横浜市中区伊勢佐木町5-129
電話番号 045-252-4001
営業時間 10:00~18:30
定休日 月曜(祝日の場合は翌火曜)

2021.06.21(月)
文=大嶋律子
写真=釜谷洋史