フォトジェニックな街で地中海の美食を!

16:45

 昭和の香り漂う建物や路地が残る吉田町も、画廊やギャラリーが軒を連ねるアートスポット。「アート&ジャズフェスティバル」などのイベントも開催されています。

 その吉田町の一角で赤茶色の外壁が目を引く吉田町第一名店ビルは、昭和30年代に建てられた防火帯建築のひとつ。築60年を越えた古いコンクリート長屋で、今では画廊やアートスペースが設けられたり、建築設計事務所がカフェを営んだりと、アーティストやクリエイターの拠点にもなっているそう。

 時間に余裕があれば、ぐるりと一周して、アート散策を。

17:00

 さて、いよいよお待ちかねのディナー。「吉田町 ノラねこ通り」は、「おいしんぼ横町」とも呼ばれ、老舗の居酒屋やおでん屋、バーなどが並ぶ、まさにグルメ街です。その通りに面した「スパルタ」は、1953年オープンの日本で最も歴史のあるギリシャ料理店。

 当時の横浜港はギリシャからの船が多く、曙町あたりにたくさんのギリシャ人船乗りが集っていたそう。初代店主も元船乗りのスパルタ出身のエリヤス・スカンゾスさん。店名は、彼の故郷の地名から取られています。2010年に曙町から吉田町に移転しましたが、この横浜で68年もの間、本場のギリシャ料理の味を守り続けいています。

 水色の扉から中に入ると、そこは別世界。テーブル席に腰をおろせば、白い壁に描かれたエーゲ海のサントリーニ島の景色が広がり、店内に流れる音楽や水色と白を基調とした内装のコンストラストも相まって、まるで異国を旅しているかのよう。中庭まである奥行きのある空間で、心ゆくまで本物のギリシャ料理を堪能できます。

 世界的に人気の高いギリシャ料理は、「地中海料理」として2010年にユネスコの無形文化遺産に登録された伝統的な料理。その特徴は、第一にオリーブオイルをふんだんに使うこと。そして、レモンやトマトの爽やかな酸味を加え、シナモンやクローブなどのスパイスやハーブをアクセントとして使用します。

 日本人の口にも合う料理が多く、チーズやヨーグルトなども使われるのでヘルシーです。「スパルタ」では現地からも食材を取り寄せ、日本の食材だけでは出せない本場の味を提供しています。

 ディナーの始まりには、6種類の人気メニューを一皿に盛り付けた「前菜盛り合わせ」を。タラモサラダ、ジャジキ(ヨーグルトのディップ)などは、バゲットに乗せて食べても美味です。

 このお店で必ず味わいたいのが、ギリシャ料理の代表料理でもある「ムサカ」です。ポテトとナス、牛の挽肉にホワイトソースを重ねてオーブンで焼き上げたムサカは、ミートソースにほんのりシナモンの香りが。お肉と野菜の旨味がたっぷり詰まった食べ応えのある一品です。

 ムサカと並んでこの店の人気メニューが、ほうれん草とフェタチーズをパイで包んだ「スパナコティロピタキア」。山羊の乳から作ったフェタチーズとほうれん草の独特な味が、パリッとしたパイ生地と絶妙なマッチング!

 新鮮な魚貝類や地中海の新鮮な野菜の持ち味を生かしたギリシャ料理は、お酒ともよく合います。ギリシャの地酒ウゾという蒸留酒と一緒に味わうのがギリシャ流。ウゾは、アルコール度数が38〜40度前後になる強いリキュールで、水を混ぜると白く濁ります。ハーブの風味があるので、塩味、スパイス、酸味の効いた料理にうってつけ。

 ほかにも地中海性の暑い気候に合うラガータイプのビールは、オリーブを使った料理と好相性! また、ヨーロッパのワインの発祥地ともいわれるギリシャは、実はワイナリーも豊富。「スパルタ」では、グラスワインからその年にしか味わえない貴重なギリシャワインまで数多く揃っています。ワインソムリエであるマダムにその時々の料理に合ったワインを紹介してもらうのもこの店の楽しみのひとつです。

 昭和レトロな街並みを歩き、横浜のディープカルチャーを掘り下げた「5 hours Trip」は、いかがでしたか。次回もお楽しみに!

スパルタ

所在地 横浜市中区吉田町3-7
電話番号 045-253-1645
営業時間 11:30~14:00、17:00~22:00
定休日 第1・第2月曜
https://www.sparta.jp/